【独占インタビュー】唐奨受賞のスーザン・ソロモン氏「再エネは化石燃料より安い」 気候危機に楽観的な理由

2026-06-20 13:03
唐奨の持続可能な開発賞を受賞したスーザン・ソロモン氏(Susan Solomon)。(写真/唐奨教育基金会提供)
唐奨の持続可能な開発賞を受賞したスーザン・ソロモン氏(Susan Solomon)。(写真/唐奨教育基金会提供)

米国の大気化学者スーザン・ソロモン氏(Susan Solomon)が、2026年の唐奨(Tang Prize)持続可能な開発賞を受賞した。台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』のオンラインインタビューに応じたソロモン氏は、「私たちは重要な転換点を越えた。再生可能エネルギーのコストは化石燃料を下回っており、ロシア・ウクライナ戦争やイランをめぐる中東情勢も、多くの国に再エネへの移行を促している。これは二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながるため、私は未来に対して楽観的だ」と語った。

ソロモン氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)地球・大気・惑星科学科の教授。1986年には研究チームを率いて南極での実地調査を行い、クロロフルオロカーボン(CFCs)が南極のオゾンホール拡大の主な原因であることを実証した。

新著『Solvable: How We Healed the Earth, and How We Can Do It Again(仮訳:解決可能:我々はいかにして地球を癒やし、いかにして再び成し遂げられるか)』では、オゾン層破壊という地球規模の危機を、科学、公共政策、国際協力によって解決へ導いた過程を紹介している。

受賞の知らせを受けたソロモン氏は、米東海岸の自宅からオンラインで取材に応じた。中央研究院の劉兆漢院士や、同院士でかつての同僚でもある劉紹臣氏からも祝福を受けた。唐奨教育基金会の陳振川執行長によると、ソロモン氏は今年9月に台湾を訪れ、唐奨の授賞式に出席するほか、マスターフォーラムを開き、若い世代や学生と交流する予定だという。

再エネの低コスト化が各国の移行を後押し

​トランプ米大統領は2期目の政権で、パリ協定からの離脱に加え、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)への補助金打ち切り、化石燃料の利用促進などを進めている。一連の政策には、環境団体などから強い反発が出ている。

しかし、40年以上にわたり気候変動研究に携わってきたソロモン氏は、現在の状況について悲観一色ではない。理由として挙げたのが、再生可能エネルギーの大幅な低コスト化だ。

ソロモン氏は、再エネのコストがすでに化石燃料より安くなっていると指摘する。経済的な観点から見れば、この変化は各国を再エネ導入へ向かわせる大きな要因になるという。

また、ロシア・ウクライナ戦争を受け、欧州諸国はロシア産化石燃料への依存を見直し、代替エネルギーの開発を加速させている。さらに、イランをめぐる中東情勢も、アジアを含む各国に再エネ開発を促す要因になっていると説明した。

ソロモン氏は、再エネ価格の低下が今後数年でさらに普及を後押しし、「雪だるま式」の変化が起きるとの見方を示した。 (関連記事: 佐賀・波戸岬に世界初の海洋プラスチック体験施設「PLA PLA」開業 「回収・分別・再生」まで体験 関連記事をもっと読む

米国の姿勢変化には失望 それでも国際協力は進む

​米国人として、ソロモン氏は気候変動問題における米国の姿勢変化に失望していると語った。ただし、気候変動は一国だけで解決できる問題ではなく、多くの国が関与する国際的な課題だとも強調する。

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