ホルムズ海峡巡り情報錯綜 米軍「通過ゼロ」も一部報道は航行確認

2026年4月14日、米海軍の空母「エイブラハム・リンカーン(CVN 72)」で離陸作業にあたる甲板作業員。(写真/米中央軍提供)
2026年4月14日、米海軍の空母「エイブラハム・リンカーン(CVN 72)」で離陸作業にあたる甲板作業員。(写真/米中央軍提供)

先週、パキスタンで開催された米国とイランの和平交渉が決裂したことを受け、ドナルド・トランプ米大統領は「ホルムズ海峡の封鎖」を宣言した。イランに通行料を支払済みの船舶も通過を認めない方針で、この禁令は米東部時間13日午前10時から施行された。しかし、実施から24時間が経過した現在、海峡の状況を巡り主張が真っ向から対立している。国際メディアが「封鎖は確認できず、船舶の通行は継続している」と報じる一方で、米軍は「通過した船舶は一隻もない」と宣言している。​

世界のエネルギー供給の要所であるホルムズ海峡に対し、現在イランと米国の双方が封鎖に加わる形となった。ワシントンが封鎖網の完成を大々的に宣伝する中、ロイター通信は14日、封鎖開始後の最初の24時間において、海峡の交通に壊滅的な打撃は見られなかったと指摘した。船舶追跡データによれば、14日には少なくとも11隻が同水路を無事に通過。そのうち3隻はイラン関連の船舶だったが、イランの港へは向かっておらず、封鎖の影響も受けなかったという。

2026年4月14日、米中央軍はホルムズ海峡封鎖の初日の成果を発表した。(米中央軍)
2026年4月14日、米中央軍はホルムズ海峡封鎖の初日の成果を発表した。(写真/米中央軍提供)

米中央軍は「通過ゼロ」を強調、精鋭1万人を動員

​しかし、米軍側の見解はこれとは対照的だ。『ロイター通信』や『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、米中央軍(U.S. Central Command)がSNSの「X」で行った声明を引用。中央軍は「最初の24時間において、米国の封鎖線を越えた船舶は一隻も存在しない」と断言した。さらに、6隻の商船が米軍の指示に従い、オマーン湾に位置するイランの港へと引き返したことを強調した。

『フィナンシャル・タイムズ』によれば、米国はこの「封鎖措置」のために精鋭部隊を総動員している。中央軍は1万人以上の水兵、海兵隊員、空軍兵を動員し、10数隻の軍艦、100機を超える戦闘機や偵察機を投入して任務にあたっているという。一方で同紙は、過去24時間に20隻以上の商船がホルムズ海峡を通過したことを裏付ける米政府当局者の証言も引用しており、情報が錯綜している状況だ。

ホルムズ封鎖の「羅生門」、米軍声明とデータの乖離

​なぜ船舶追跡データや米政府当局者の証言は、米軍の公式声明と一致しないのか。イタリア・ジェノバ大学のファブリツィオ・コティキア教授(政治学)は『ロイター通信』に対し、「米国はあらゆる種類の船舶を封鎖する必要も、ホルムズ海峡内に実質的に進入する必要もない。米国が実施しているのは一種の『間欠的封鎖』だ」と分析する。米軍の艦艇は実際には海峡外縁のオマーン湾に配備されており、船舶を直接攻撃するのではなく、進路を変更させて追い払う手法を採っているという。 (関連記事: ローマ教皇の対イラン軍事行動批判にトランプ氏が強く反発 異例の対立深まる 関連記事をもっと読む

2026年4月14日、ペルシャ湾をドバイ港に向けて航行する貨物船。(AP通信)
2026年4月14日、ペルシャ湾をドバイ港に向けて航行する貨物船。(写真/AP通信提供)

また、『ロイター通信』が確認した米軍から水兵への通知には、「人道支援物資の輸送」は封鎖の対象外であることが明記されている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』も、当初トランプ大統領が宣言した「ホルムズ海峡の完全閉鎖」とは異なり、実際に米軍が実施しているのは「イランの港」を対象とした封鎖であると指摘。イランの港に寄港する予定のない船舶は封鎖の対象外であり、依然として自由な通航が可能となっている。

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