【舞台裏】頼総統、26年台湾統一地方選の候補調整に苦慮 鄭麗君氏は出馬要請に難色

与党・民進党主席を兼務する台湾総統・頼清徳氏(中央)は、2026年統一地方選の候補者指名に向けて布石を打つも、複数の自治体で難航している。(写真/顔麟宇撮影)
与党・民進党主席を兼務する台湾総統・頼清徳氏(中央)は、2026年統一地方選の候補者指名に向けて布石を打つも、複数の自治体で難航している。(写真/顔麟宇撮影)

2026年に控える台湾の統一地方選挙が徐々に迫っている。総統選の「中間評価」とも目されるこの戦いは、各政党の勢力図を塗り替えるだけでなく、有力政治家たちがその実力と基層での支持基盤を示す重要な舞台となる。与野党ともにこの選挙の厳しさを認識し、水面下で戦略立案を急ぐなか、民進党主席を兼務する頼清徳(らい・せいとく)総統も各県市の候補者擁立に奔走している。しかし、総統という立場にありながら、頼氏の要請や意向が必ずしも党内で全面的に受け入れられているわけではないのが実情だ。

頼氏はすでに、嘉義県の蔡易餘(さい・いよ)氏、台南市の陳亭妃(ちん・ていひ)氏、高雄市の頼瑞隆(らい・ずいりゅう)氏、新北市の蘇巧慧(そ・こうけい)氏らの指名を決めているが、依然として多くの県市で調整が難航している。なかでも「最重要拠点」である台北市の選定は、完全に停滞している。総統自らが出向いてもなお、候補者選定が困難を極めているのはなぜか。民進党内部の構造的な問題か、あるいは頼氏のリーダーシップのあり方に起因するものなのか、波紋が広がっている。

20260121-民進黨21日舉行縣市長提名記者會,嘉義縣長提名人蔡易餘(右起)、台南市長提名人陳亭妃、高雄市長提名人賴瑞隆、民進黨主席賴清德、高雄市長陳其邁、台南市長黃偉哲、嘉義縣長翁章梁出席。(柯承惠攝)
頼氏(中央)はすでに嘉義県の蔡易餘氏(右から1人目)、台南市の陳亭妃氏、高雄市の頼瑞隆氏らを公認候補として指名したが、多くの県・市で擁立が難航している。(写真/柯承恵撮影)

頼総統の再三の説得にも鄭麗君氏は動かず

民進党は4つの主要選挙区で候補者の打診が立て続けに頓挫しており、頼氏および党中央にとって打撃となっている。首都・台北市において、党執行部が本命としていたのは行政院副院長(副首相に相当)の鄭麗君(てい・れいくん)氏だった。党内では、彼女が主導してきた関税交渉などの実績を前面に押し出し、その行政能力と優れた交渉力をアピールする戦略を描いていた。

しかし、鄭氏は現在、膨大な政務を抱えており、重要法案の処理には彼女の存在が不可欠な状況にある。短期間で高強度の選挙戦に投入されるのは現実的に困難だ。加えて、鄭氏本人に立候補の意欲が乏しく、党中央は代替案として、比例代表選出の立法委員(国会議員に相当)・沈伯洋氏らに的を絞り始めている。

実際、頼総統は自ら何度も鄭氏に説得を試みた。しかし、鄭氏は応じなかった。説得の過程で「みんなで私を追い詰めている!」と感情を激昂させる場面もあったという。頼氏の要請を事実上、無下にした形だ。

当初、党の選挙対抗委員会は2026年4月7日に沈伯洋氏の指名を通過させる予定だったが、党内外の根強い懸念から延期された。現在は「壮闊台湾協会」理事長の呉怡農(ご・いのう)氏を代案の代案とする声も浮上している。党関係者によれば、沈氏が擁立される可能性が依然として高いものの、党内外をさらに説得する必要があり、指名が確定した場合には迅速な作業が求められることになる。

20260120-行政院副院長鄭麗君()20日出席「台美關稅談判說明記者會」。(顏麟宇攝)
頼氏が直々に行政院副院長・鄭麗君氏(写真)を説得したものの、過程で鄭氏が「周囲が自分を追い詰めている」と感情を露わにする一幕もあった。(写真/顔麟宇撮影)

桃園市 頼氏の説得も王義川氏は固辞、黄世杰氏を擁立へ

​桃園市長の候補者選定プロセスも波乱含みであり、頼総統の意志が党内に浸透しきれていない現状を浮き彫りにしている。頼氏は2026年2月末から3月初めにかけ、不比例代表(比例区)立法委員の王義川(おう・ぎせん)氏と異例の二度にわたる面談を行い、桃園への出馬を直接打診した。王氏は当初、含みを持たせた発言をしていたものの、最終的には党内の予備選(世論調査)に参加しない意向を党本部に明確に伝えた。総統自らが出向いての要請が拒絶されたことは、頼氏の指導力にとって手痛い打擊といえる。

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