防衛省は2026年(令和8年)3月10日、「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」の最終会合を開催し、防衛力の変革に向けた検討状況等をまとめた全60ページの資料を公表した。高市首相が2025年(令和7年)10月の所信表明演説で、来年中の「安保三文書」改定を目指すと表明したことを受け、小泉防衛大臣を本部長とする防衛力変革推進本部が計5回にわたり議論を重ねてきたものだ。
防衛費「GDP比2%」前倒し達成の見通し
現在の防衛力の抜本的強化の進捗については、スタンド・オフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力などが概ね計画通りに進展していると報告された。令和8年度予算までで、防衛力整備計画の事業費43.5兆円のうち81%が措置済みとなっている。また、国家安全保障戦略に定める対GDP比2%水準(約11兆円規模)の予算確保についても、当初の予定を前倒しで達成される見通しであることが強調された。
中国の脅威、核増強と現状変更の試み
我が国を取り巻く安全保障環境について、資料では中国の脅威が極めて詳細に分析された。中国の公表国防費は過去30年で約27倍(約40兆1000億円)に急増。2030年までに1000発以上の核弾頭を保有するとの予測が示されたほか、極超音速滑空兵器(HGV)を搭載可能な中距離弾道ミサイルの運用開始も報告された。
東シナ海では、1000トン級以上の海警局船による尖閣諸島周辺の接続水域内確認日数が、令和6年に355日に達した。無人機や測量艦による領海・領空侵犯も常態化している。南シナ海での人工島造成やフィリピン艦船への妨害、空母「遼寧」「山東」が太平洋の第二列島線付近への進出など、力による一方的な現状変更の試みが執拗に継続されている実態が浮き彫りとなった。
緊密化するロシア・北朝鮮軍事協力への懸念
北朝鮮およびロシアの動向と、両国の軍事協力の進展についても強い危機感が示された。北朝鮮は米国全土を射程に収める固体燃料式ICBM級や極超音速ミサイルの開発を繰り返し、核弾頭約50発を保有。ウラン濃縮施設の稼働も拡大させている。
特に、令和6年12月に発効したロシアとの「包括的戦略的パートナーシップ条約」に基づく軍事協力が急速に進展。北朝鮮からロシアへ100発以上の弾道ミサイルが供与されたほか、令和6年終盤から令和7年3月にかけて、計1万4000人を超える兵士が派遣された。この協力により、北朝鮮が実戦を通じたミサイル性能の向上や新戦術を獲得し、ロシアから核・ミサイル関連技術が移転するリスクが指摘されている。 (関連記事: 「軍事より経済」が國力の核心 トランプ氏は中國との衝突を望むのか 元米特使が東京で説く、対話と包囲網の真意 | 関連記事をもっと読む )
一方、ロシアは極東や北方領土においてボレイ級戦略原潜やSu-35S戦闘機を配備し、ミサイル演習や我が国周辺での領空侵犯を継続している。中露両国は爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を頻繁に行っており、令和6年11月の共同飛行では中国軍のH-6N爆撃機の参加が初めて確認された。戦略的連携は「歴史上最高の水準」にまで高まっていると分析されている。
















































