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【揭仲の視点】イラン地上戦は「勝利」か「泥沼」か トランプ政権が特種部隊と第31海兵遠征部隊を動員する「最後の手段」 米国とイスラエルによる空爆を受け、瓦礫の山と化したイランの首都テヘラン。(資料写真、AP通信)
2月28日に開始された「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」作戦は、3月17日までの18日間で大きな局面を迎えている。米イスラエル連合軍は、イランの最高指導者ハメネイ師を含む高官49名を殺害したほか、イラン軍のC4ISRシステム、防空システム、空軍、および海上作戦兵力を壊滅させることに成功した。イランによる弾道ミサイルやドローンを用いた周辺国への遠距離打撃を完全に阻止するには至っていないものの、発射車両や地下トンネル入口への精密打撃により、これら兵器の発射数は激減している。
難航する作戦目標と米政府の「増額」 米政府高官の談話や米イスラエル連合軍の動向から、米国が本演習を通じて以下の5つの目標達成を掲げていることが伺える。
イランによる核兵器取得の永久放棄 弾道ミサイルおよびドローンによる他国への攻撃停止 国外のテロ組織に対する武装・資金援助および指揮の停止 ホルムズ海峡における海上輸送妨害の停止 イラン産石油の生産および輸出の米国支配 米国にとってより重要なのは、短期間の猛烈な攻撃によって中東における脅威を徹底的に排除し、軍事リソースを中東・ペルシャ湾から「インド太平洋地域」へと転換することにある。これにより、長期的な戦略的競合相手である中国に対する抑止力を強化する狙いがあった。しかし、短期間でこれら目標を達成するための鍵となる「政権の受け皿」が見当たらない。ベネズエラで暫定大統領を務めるデルシー・ロドリゲス氏のように、内部情勢を安定させつつ米国の要求に従う指導者の不在が、事態を複雑化させている。
非対称戦の脅威と地上部隊投入の可能性 現時点で米イスラエル軍は戦場で圧倒的優位にあり、イラン政権は大幅に弱体化している。しかし、政権崩壊や士気喪失の兆候は見られず、むしろイラン側は無人機(ドローン)、無人艇、水中ドローン(UUV)、機雷を用いた非対称戦へシフト。ホルムズ海峡を通行する油輪や貨物船への攻撃を開始しており、米国および世界各国の油価・物価に対する重大な脅威となっている。
こうした展開は、空爆のみで目標を達成できる可能性が大幅に低下したことを示唆しており、「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」の長期化は避けられない状況だ。トランプ政権は、これまで極力避けてきた「一定規模の地上部隊の派遣」という、より大きな賭けに出ざるを得ない可能性がある。標的となるのは、既知の核関連施設や、ホルムズ海峡への攻撃拠点だ。
ワシントンが地上戦検討に至った理由 米国政府がリスクを冒してまで、イラン領土への地上部隊投入を検討している主な理由は、イラン版「ロドリゲス政権(米国の要求に応じる受け皿)」が見当たらない状況下で、短期間に「核施設の徹底的な排除」と「ホルムズ海峡の航行安全確保」という、作戦の勝利を誇示できる二大目標を達成するには、地上部隊の派遣が唯一の手段となりつつあるためである。
国際原子力機関(IAEA)の推定によれば、昨年6月にイスラエルと米国がイランへの空爆を開始する前、イランは濃度60%の高濃縮ウランを400kg以上、さらに濃度20%の核分裂性物質を約200kg保有していた。後者は兵器級である90%濃縮ウランへの転換が容易であり、イランが短期間で核弾頭を製造できる能力を有していることを意味する。現在、これら濃縮ウランの貯蔵場所の一つと目されているのが、イラン中部ナタンズ付近の「ピッケル山(Pickaxe Mountain) 」地下施設である。その深度は79~100メートルに達すると推定され、米軍のGBU-57大型貫通爆弾(MOP)の最大貫通能力である61メートルを大幅に上回っている。
空爆による破壊が困難である以上、米国が短期間でイランの核の脅威を完全に排除するためには、防空能力を喪失したイラン上空を輸送機やヘリで突破し、精鋭のレンジャー部隊や第82空挺師団による外周援護の下で特殊部隊を「ピックアックス山」付近に着陸させ、地下施設へ直接攻撃を仕掛けるほか道はない。その後、専門の訓練を受けたエリートチームが、紛争地域から放射性物質を運び出す任務を担うことになる。
一方、ホルムズ海峡においては、イラン海軍および革命防衛隊の水上艦艇や沿岸対艦ミサイルは米イスラエル連合軍によって大半が破壊されたものの、イラン側は依然として海峡内の島々や、北側に160キロメートルにわたって続く海岸線を拠点に、大量の無人艇(USV)、無人機(ドローン)、さらには無人水中航行体(UUV)を用いた奇襲攻撃を展開する能力を維持している。幅わずか39~97キロメートルの狭い海峡内では、海面ぎりぎりを飛行・航行し、レーダー反射断面積(RCS)も極めて小さいこれらの兵器に対し、従来の軍艦による護衛制度では迎撃効果が限定的とならざるを得ない。
したがって、短期間でホルムズ海峡に対するイランの脅威を根絶するためには、圧倒的な海空支援の下で海兵隊を投入し、ララク島、ホルムズ島、ゲシュム島などを奪取して島内の軍事施設を破壊した上で、さらに大トンブ島、小トンブ島、アブ・ムーサ島といった小規模な島々を急襲する必要がある。これが成功すれば、イランの無人兵器による攻撃能力を削ぐだけでなく、奪取した島々に無人兵器用の偵察・迎撃システムを配備することで、イラン本土からの攻撃を防ぎ、海峡を航行する船舶の安全を確保することが可能となる。
地上戦投入に潜むリスクと「大いなる賭け」の行方 前述した地上作戦は、一見すると規模は限定的であり、イランの防空システムによる迎撃リスクも低いように見受けられる。しかし、それは決して本連習の「リスクが低い」ことを意味するものではない。
特に地上攻勢の目標について、イラン政府が予測することは難しくない。そのため、米軍にとって「戦略的奇襲」を成立させることはほぼ不可能である。「ピッケル山(Pickaxe Mountain) 」の地下施設を例にとれば、イラン地上部隊は周辺の山岳地形を熟知しており、米軍に対して待ち伏せ攻撃を仕掛けることが可能だ。もし米軍に一定の死傷者が出たり、あるいは捕虜が出るような事態に陥れば、米政府は国内で猛烈な批判にさらされるリスクがある。
仮に初期の突入が成功したとしても、広大な坑道内を完全に制圧し、核物質を物理的に除去するには数日を要する。さらには、重量のある必要機材の搬入や、回収した核物質を搬出するために、近隣に臨時飛行場を設営する必要すら生じるかもしれない。
作戦全体に膨大な後方支援が必要となるだけでなく、米軍は物質の搬出が完了するまで数日間にわたり現地を死守しなければならない。その間、イラン地上部隊や無人機(ドローン)による絶え間ない反撃にさらされることになり、そのリスクは無視できないほど大きい。
ホルムズ海峡の諸島占領作戦については、核施設攻撃に比べれば相対的にリスクは低いとされる。しかし、イラン側は過去数年にわたり、各地に膨大な数の予備部品を蓄蔵しているとみられる。これらがあれば、小規模な作業場であっても自爆型無人機を製造し続けることが可能だ。
イラン沿岸から航行船舶や、島に駐留する米海兵隊への攻撃が継続されれば、海峡の航行安全を万全なものにするには、艦隊の派遣のみならず、膨大な監視・偵察リソースを投じて海峡北側のイラン沿岸を常時監視しなければならない。場合によっては、攻撃拠点となっているイラン本土の一部を占領・確保するために、地上兵力をさらに増派する必要すら生じるだろう。
要するに、イランの特定地点に対する地上部隊の投入は、米政府にとって短期間で二大任務(核阻止と海峡安全)を完遂し、中東におけるイランの脅威を根絶できる可能性を秘めた選択肢である。しかし一方で、短期間で「栄誉ある終戦」を宣言できず、さらなる泥沼化を招く可能性も決して低くない。この作戦は、米政府にとって極めて勝算の不透明な「大いなる賭け」と呼べるだろう。
*筆者:中華戦略前瞻協会研究員、淡江大学統合テクノロジー・戦略研究センター研究員
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