トップ ニュース 蔡力行、メディアテックの未来に向けた決定的な一手 エヌビディア黄仁勳との協業を再始動
蔡力行、メディアテックの未来に向けた決定的な一手 エヌビディア黄仁勳との協業を再始動 エヌビディア(NVIDIA)の黄仁勲(ジェンスン・フアン)氏(左)との提携再開は、台湾メディアテック(聯発科技)の蔡力行氏(右)が同社の未来に向けて打った重要な一手である。(資料写真、魏鑫陽撮影)
グローバルなスマートフォン市場が成熟期に突入する中、台湾の半導体大手メディアテック(MediaTek)の次なる成長エンジンはどこにあるのか。同社の最高経営責任者(CEO)・蔡力行(リック・ツァイ)氏は、ポッドキャスト番組『A Bit Personal with Jodi Shelton』の独占インタビューに応じ、メディアテックの次なる戦略の青写真を明確に示した。スマートフォンが引き続き重要な中核事業であることに変わりはないが、もはや単独で全社の成長を支え切ることは不可能だ。メディアテックはこれまで強みとしてきた「通信(コネクティビティ)」の技術から一歩踏み出し、より巨大な「演算(コンピューティング)」市場へと参入し、パソコン(PC)、車載機器、エッジAI、さらにはデータセンターへと戦線を拡大しなければならない。そして、この構造転換の道程において、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の創業者・黄仁勳(ジェンスン・フアン)氏と再び提携したことこそが、メディアテックの競争次元を一段引き上げるための重要な布石となる。
蔡氏は、約2、3年前から「スマートフォンは今後もメディアテックの重要な柱であり続けるが、成長曲線は確実に鈍化する」と明確に認識していたと吐露した。「もし我々が一本足打法(単一事業に依存した状態)であれば、決して魅力的な企業とは言えない」と語る。だからこそ、メディアテックは次なる成長に向けた新たな柱を早期に見出し、従来の「通信」に偏重した役割から、徐々に「演算」へと領域を拡張する必要があったのだ。ここでいう「演算」とは、PCにとどまらず、車載機器、エッジAI、そしてデータセンターといった、より巨大な市場を網羅する概念である。
半導体産業の構造は拡大期へ こうした判断の背景には、AI(人工知能)産業に対する蔡氏の鋭い洞察が密接に関係している。同氏はインタビューの中で、AIが半導体産業にもたらす商業的恩恵は、かつてのインターネット時代、あるいはスマートフォン時代をも凌駕する可能性があると指摘している。一般消費者向けにおけるAIの普及は、検索機能や音声アシスタント、各種デジタルツールによる効率化といった形で「静かに」進行しているが、産業界においては、データセンター向けAIが牽引する投資規模と資本支出は、蔡氏の当初の予想をはるかに上回る規模に達しているという。
すなわち、蔡氏が見据えているのは一過性のAIブームではなく、半導体産業の構造そのものが拡大しているという事実である。メディアテックが依然として従来の「スマートフォン向けチップ企業」という位置づけにとどまれば、今後の成長余地は必然的に制限される。逆に言えば、次なるAIと演算需要が本格化する前に足場を固めることができれば、既存の通信技術の強みを活かし、より付加価値の高い競争領域へと進出する機会を得られるのだ。
(関連記事:
金融危機時にTSMCを率いた蔡力行氏、張忠謀のもとでの25年の修練で得たものを語る
|
関連記事をもっと読む
)
メディアテック、2026年MWCのプロモーション動画でAIスマートフォン向けチップを主導(YouTubeより) 振り返ると、蔡力行氏が5G時代に下した賭けは、まさにその意思決定スタイルを体現していた。インタビューの中で、同氏は中華電信からメディアテックへ転じた後、5Gの発展ルートについて明確な判断を下していたと語る。それはミリ波(mmWave)には手を出さず、Sub-6に資源を集中するというものだった。理由はシンプルで、当時設備ベンダーに対しミリ波の投資対効果を繰り返し問いただしても、納得できる答えが得られなかったからだ。一方でSub-6は技術的により成熟しており、既存の4G基盤を活用しながら迅速な商用化が見込めた。
蔡氏にとって、技術の選択はスペックの優劣だけで決めるものではなく、市場として実際に立ち上がるかどうかが重要だった。また、中国が4Gで出遅れた以上、5Gで再び遅れることはないと見ており、政府主導と産業の両面で強力な推進が行われると判断していた。技術的にも実現可能で、市場需要の形成も見込めるのであれば、メディアテックは追随するのではなく先行すべきだという結論に至った。
結果として、この「ミリ波を避け、Sub-6に集中する」という戦略は、メディアテックが5Gの主戦場で地位を確立するうえで大きな転機となった。
「接続」から「コンピューティング」へ そして5Gの次を見据えたとき、蔡力行氏はすでに次の戦いをさらに先まで見通しているようだ。メディアテックが「接続」から「コンピューティング」へ進もうとする中で、黄仁勳氏との再提携は、単なる話題づくりの協業ではなく、構造的な布石となっている。蔡氏は、メディアテックとNVIDIAの協力によって、両社のエンジニアリングチームが製品開発の過程でより深く連携できるようになったと明かした。メディアテックが持つCPUなどの分野での能力は、NVIDIAのGPUにおける強みと補完関係を築くことができ、協業の範囲もエッジ分野にとどまらず、さらにデータセンターへと広がっている。
メディアテックにとって、この提携の意味は製品面だけにとどまらない。蔡氏は特に、NVIDIAとの再協業による最大の収穫の一つは、企業文化や仕事の進め方を学べる点にあると強調した。メディアテックのエンジニアは共同開発の過程で、世界トップクラスのAI企業がどのように製品を前進させ、リソースを統合し、開発のリズムを作っているのかを直接目にすることができる。こうした経験は、そのまま会社自身の成長の一部となる。
つまり、これは単に一緒にビジネスをするという話ではない。協業を通じて、メディアテックを次の競争に必要な組織能力と企業文化の強さへと引き上げていく取り組みなのである。
メディアテックの蔡力行CEOが黄仁勳氏の「兆元宴」に出席。(資料写真) メディアテック の次の成長段階について、蔡力行氏は明確な方向性を示している。スマートフォンは依然として事業の基盤であるが、それだけで全体を支える時代ではない。5Gで築いた地位を土台に、今後の10年はAIとコンピューティングが新たな成長の柱になるという。
かつてスマートフォン向けチップ企業として強く認識されていた台湾のIC設計大手が、より明確に「コンピューティング・プラットフォームの重要な担い手」へと自らを位置づけ始めたことは、単なる製品ラインの拡張ではない。メディアテック 自身の役割を再定義する大きな転換を意味している。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
アークヒルズでソメイヨシノが開花 都心に現れる全長700mの「桜のトンネル」が春を彩る 森ビル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 辻慎吾)が運営するアークヒルズ(桜坂〜スペイン坂)にて、2026年3月19日、ソメイヨシノの開花が確認された。アークヒルズの外周を取り囲む三方の道路には約130本の桜が植えられており、全長約700メートルに及ぶ桜並木は、都心では珍しい圧倒的な「桜のトンネル」として親しまれている。植樹から40年、歴史を刻むエリアのシ......
金融危機時にTSMCを率いた蔡力行氏、張忠謀のもとでの25年の修練で得たものを語る ポッドキャスト番組『A Bit Personal with Jodi Shelton』に出演した台湾の半導体大手メディアテック(聯發科)の最高経営責任者(CEO)・蔡力行氏は、企業の変革や業界の地殻変動について語ったのみならず、自身のキャリアとリーダーシップのあり方を振り返った。TSMCでの25年にわたる経験、世界金融危機(リーマン・ショック)時の重責、そし......
「台湾のシリコンバレー」新竹市長がつくば市を訪問 TSMC研究拠点を背景に産学連携を加速 台湾・新竹市の高虹安(カオ・ホンアン)市長率いる市訪問団は17日、日本の科学技術の拠点である茨城県つくば市を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。台湾と日本の「科学技術都市」のトップが顔を合わせ、イノベーションや産業発展、人材育成における新たな協力の可能性について活発な意見交換を行った。「50嵐」がつなぐ親近感、和やかな交流会談の冒頭、高市長は台湾で絶大な人気......
「広域品川圏」が3月28日本格始動 高輪・大井町が同時開業、JR東日本が描く次世代都市の姿 WATERS takeshiba発着の「さくらクルーズ」を期間限定で運行するほか、将来的には「空飛ぶクルマ」の社会実装も視野に入れている。東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、浜松町駅から大井町駅にかけて展開する「広域品川圏(Greater Shinagawa)」の共創まちづくりを、2026年3月28日より本格始動すると発表した。同日は「TAKANAWA ......
一生に一度はお伊勢参り!三重県が台北で観光プロモーション 伊勢茶の呈茶や忍者演武で魅了 台湾の旅行者から高い人気を誇る三重県は16日、一見勝之知事自ら約20の観光事業者を引き連れ、台北文創(台北ニューホライズン)にて「三重県観光誘客プロモーション in 台北」を盛大に開催した。伊勢神宮の神聖な空気、伊賀流忍者の伝統、そして至高のグルメを凝縮した本イベントには、台湾の旅行・食品関連企業約50社が集結。日本台湾交流協会台北事務所の片山和之代表(駐台......
台湾、韓国への対抗措置で居留証表記を「南韓」に変更 林外交部長「効果がある」と確信 韓国のオンライン電子入国申告システム(電子入国カード)の一部項目において、台湾が「CHINA (TAIWAN)」と表記されている問題を巡り、台湾外交部(外務省に相当)は複数回にわたる抗議と交渉を経て、実質的な対抗措置に踏み切った。外交部は、3月1日付で台湾の外国人居留証(ARC)における韓国の名称を、従来の「韓国」から「南韓」に変更したと発表した。3月31日......
伝統の精神を現代の視点で再解釈、西麻布で展覧会「QUIET CLASSIC」開催 エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:加藤信介)が運営する西麻布のオルタナティヴ・スペース「WALL_alternative」にて、2026年3月11日(水)から4月11日(土)まで、展覧会「QUIET CLASSIC」が開催される。本展は、日本独自の「ものづくり」に宿る精神性や時間の積み重なりをテーマに、4名......
「TSMCの強みは複製困難」メディアテック蔡CEOが説く、台湾半導体の底力と地政学の虚実 世界的な半導体サプライチェーンの再編と米中技術覇権争いが激化する中、メディアテック(聯発科技)の蔡力行(リック・ツァイ)執行役員(CEO)は、地政学的な情勢に対して感情を排し、極めて冷静な分析を示した。同氏はポッドキャスト番組『A Bit Personal with Jodi Shelton』に出演し、近年の「ローカル製造」「サプライチェーンのリージョン化」......
横浜の没入型体験施設「ザ・ムービアム」会期延長が決定!6月28日まで トヨタグループは3月6日、横浜市山下ふ頭で開催中のイマーシブ・ミュージアム「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP(ザ・ムービアム ヨコハマ)」の会期を、2026年6月28日まで延長すると発表した。当初の終了予定は2026年3月31日だったが、より多くの来場者に「移動と感動」の体験を提供するため、約3ヶ月の延長を決定。今後の状......
米、2027年「台湾侵攻説」を公式否定 情報長官「武力統一のタイムライン存在せず」 過去5年間にわたり、ワシントンのシンクタンクや政界では「2027年までの中国による台湾侵攻」が一種のコンセンサスとなっていた。あたかもその時が来れば、人民解放軍の揚陸艦が台湾海峡の中間線を越えてくるかのような、「デービッドソンの窓」と呼ばれる戦略的焦燥感が、近年的インド太平洋地域の安全保障論議を支配してきた。しかし、この中国による武力行使の時期に関する判断と......
麻布台ヒルズで第3回「廊下音楽」開催へ TENDREや梅井美咲らが出演 森ビル株式会社は、麻布台ヒルズにて「廊下」を舞台とした音楽イベント「廊下音楽(Hallway Music)」の第3弾を2026年3月27日に開催すると発表した。本イベントは、アコースティックな音楽や軽食を日常の延長線上で楽しむ新たな体験を提供し、人々のコミュニケーションの場を創出することを目的としている。注目の出演アーティストには、Squareステージにマル......
拡大する「コミュニティラン」市場、ピーティックスが2026年春の特選イベント特集を公開 イベント・コミュニティプラットフォームを運営するピーティックス(Peatix)は、2026年春のランニングシーズンに向け、「コミュニティラン」をテーマとした特集を公開した。近年、ランニングはタイムや順位を競うスポーツから、交流や景観を楽しむライフスタイルの一部へと変容しており、都市部を中心に「誰と走るか」という体験価値を重視するグループランやテーマ型イベント......
BLACKPINK × MLB のコラボレーションアイテムが登場、3月23日より販売開始 世界最大級のデジタルスポーツプラットフォームを運営する Fanatics Inc. の日本法人、ファナティクス・ジャパン合同会社(以下「ファナティクス・ジャパン」)は、世界的人気を誇るガールズグループ「BLACKPINK」とメジャーリーグ・ベースボール(MLB)によるコラボレーションアイテムを、2026年3月23日(月)より発売する。今回のコラボコレクション......
メモリー不足、5年継続の恐れ SK会長「需要充足は2030年頃」との見解 韓国SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長はメディアの取材に応じ、現在、半導体生産ラインが構造的な制約に直面しているため、世界的な半導体メモリーの供給不足は今後4〜5年続く恐れがあると警告した。米カリフォルニア州サンノゼで開催されたエヌビディア(NVIDIA)の技術カンファレンス「GTC」に出席した崔氏は、報道陣に対し、世界的な需要の高まりを指摘。傘下の......
久光製薬、MBOにより上場廃止へ 買収総額4000億円、次世代技術開発に向け非公開化 「サロンパス」で知られる日本の製薬大手、久光製薬は2026年初頭、マネジメント・バイアウト(MBO)による株式の上場廃止を発表した。買収総額は約4000億円に上る。上場企業としての資本的メリットをあえて捨て、市場からの短期的な利益追求のプレッシャーを回避。開発期間が極めて長い「マイクロニードル」技術を用いた新薬開発に、社の命運を懸ける戦略だ。非公開化を選択 ......
【女子高校野球】第27回選抜大会の決勝、4月4日に東京ドームで開催決定 過去最多57校が激突 史上最多の57チームが出場する「第27回全国高等学校女子硬式野球選抜大会」の決勝戦が、2026年4月4日に東京ドームで開催される。準決勝までの熱戦は、女子野球タウンとして知られる埼玉県加須市、栃木県栃木市、および宇都宮市で繰り広げられる。全日本女子野球連盟は3月17日、大会の特設ウェブサイトを公開。同日より、東京ドームで行われる決勝戦の観戦チケット販売を開始......
イラン情勢緊迫化に伴う再入国支援を強化 ウクライナ避難民受入れ、累計2,877人に 出入国在留管理庁は、緊迫するイラン情勢への対応策を公表するとともに、2026年2月末時点におけるウクライナ避難民の受入れ実績および支援事業の執行状況を明らかにした。イラン滞在中の在留者へ個別相談を実施イラン情勢の不安定化を受け、現地に滞在中で日本への再入国が困難となっている中長期在留者や、出国不能により在留資格認定証明書(COE)の有効期限に影響が出る事案に......
「気候変動の使者としての鳥類」高円宮妃久子殿下とバードライフ科学者が警鐘 本外国特派員協会(FCCJ)にて、「気候変動の使者としての鳥類」と題された記者会見が開催された。会見には、バードライフ・インターナショナル名誉総裁の高円宮妃久子殿下と、同団体の首席科学者であるスチュアート・ブッチャート博士が登壇。気候変動が鳥類や生態系に及ぼす深刻な影響と、国際社会に求められる迅速な対応について詳細な報告が行われた。加速する危機と科学的データ......
イラン攻撃から3週間、戦火は湾岸諸国へ ホルムズ封鎖とトランプ政権の誤算 米国とイスラエルがイラン本土への空爆を開始してから2週間。当初、ワシントンはベネズエラ大統領の拘束時のような「精密打撃」に留まると想定していたが、事態は中東全域を巻き込み、ホルムズ海峡が封鎖される泥沼の戦局へと一変した。衝突開始から3週目に入っても沈静化の兆しは見えない。アルジャジーラによると、開戦以来、イランは周辺のアラブ諸国に対し2000発以上のミサイ......