【舞台裏】「天命がある」と語る国民党主席・鄭麗文氏、その自信の背景

2026-04-08 09:20
国民党主席・鄭麗文氏(写真)は就任当初、有望視されていなかったが、一部の厄介な状況が突如として解決を見た。(写真/陳品佑撮影)
国民党主席・鄭麗文氏(写真)は就任当初、有望視されていなかったが、一部の厄介な状況が突如として解決を見た。(写真/陳品佑撮影)
台湾の最大野党・国民党主席の鄭麗文氏は、4月10日に中国の習近平国家主席と「鄭・習会談」を行う予定だ。党中央はこの中国訪問を「2026年平和の旅」と位置づけている。これに対し、台北市長の蔣萬安氏は、いかなる両岸(中台)交流も「対等、尊厳、善意、互恵」の原則に基づくべきだと強調。一方、台中市長の盧秀燕氏は、鄭氏とは「役割を分担して共に戦う」関係だと述べた。現在のところ、党内からは同会談に対する否定的な意見は多く見られない。

一方、与党・民進党側からは猛烈な批判が巻き起こっている。同党の王定宇立法委員(国会議員に相当)は、鄭氏が習氏の前で台湾の主権を主張できず、中国に拘束されている台湾人の救出や国際社会への参加を訴えられないのであれば、この会談は「中国共産党の政治ショー」に成り下がると指摘した。また、国民党が公開した「平和であってこそ寝そべることができる(躺平)」という動画に対しても、同党の林月琴立法委員が、いわゆる「寝そべり族」を政治的アピールに使う姿勢をSNSで疑問視している。いずれにせよ、与野党を問わず各陣営の政治家たちは、この「鄭・習会談」が2026年の統一地方選挙に向けて、大きなプラスとなるのか、それとも致命的なマイナスとなるのかを注視している。

2026年3月5日、中国の習近平国家主席が中国人民政治協商会議の開幕式に出席した。(AP通信)
鄭麗文氏は中国の習近平国家主席(写真)と会談する予定だが、国民党内に目立った批判はなく、民進党が猛攻を仕掛けている。(写真/AP通信提供)

鄭麗文氏が「私には天命がある」と豪語、党内に波紋

国民党は現在、台湾全土で地方議員の党内予備選を行っている。新北市汐止区の蕭敬厳氏や、台北市士林・北投区選出の頼苡任市議らが党内処分の審査を乗り越えて正式に出馬できるかどうかに加え、党内の関心は新人への優遇措置に向けられている。新人がこの「加点」を得るためには、3週間前の3月16日に党中央が主催した「星火(火の粉)プロジェクト」講座への参加が義務づけられた。当時の最大の焦点は、蕭氏と徐巧芯、葉元之両立法委員との間で繰り広げられた大規模なリコール(解職請求)運動を巡る確執と、徐氏が怒りを爆発させた愛憎劇のような展開にあった。

しかし、外部からはあまり注目されなかったが、鄭氏も同講座で講師を務め、党の政治理念と核心的な政策論について語っている。特筆すべきは、その場で鄭氏が今後の「鄭・習会談」に言及し、「私には天命がある」と強調、会談は必ず実現すると断言したことだ。この発言は直ちに外部へと漏れ、多くの党内関係者やスタッフを絶句させた。なぜなら、会談の成否は複雑に絡み合う米中台関係の地政学的リスクに直結し、さらには中東情勢の動向にも左右されるからだ。単に「天命」という言葉だけで自信満々に語れるような性質のものではないからである。

台湾政界では、風水や命理学に対して「信じないよりは信じるべき」と敬虔な態度をとる者が少なくない。野党転落後の国民党においても、前主席の朱立倫氏を除く歴代トップの一部が風水を重んじてきた。例えば、呉敦義氏の時代のアロワナの池や、江啓臣氏の時代の「努力進前(前進あるのみ)」と刻まれたドアストッパーなどが挙げられる。消息筋によれば、鄭氏も本来、党本部ビルの外に2本の柱を新設する予定だったという。この唐突な計画には100万台湾ドル(約470万円)以上の費用が見込まれ、党内では風水絡みではないかと推測されていた。結局、工事の規模が大きすぎたため台北市建築管理処から建築許可が下りず、計画は頓挫している。 (関連記事: 10年ぶりの国共トップ会談へ 鄭麗文主席は習近平氏の「真意」を読み違えていないか 関連記事をもっと読む

20260401-国民党中常会,主席鄭麗文发表谈话。(陳品佑攝)
鄭麗文氏は党内講座で「私には天命がある」「鄭・習会談は必ず実現する」と発言し、多くの党内関係者を唖然とさせた。(写真/陳品佑撮影)

民進党が標的にした張勝徳氏ではなく、宜蘭県予備選を制したのは呉宗憲氏

鄭氏の就任以降、理解に苦しむ一連の動きが相次ぎ、党内では2026年の首長選挙に対する悲観的な見方が広がっていた。しかし興味深いことに、事態は突如として急展開を見せている。例えば、宜蘭県長(知事)の党内予備選では、呉宗憲立法委員が予想外の勝利を収めた。風傳媒(ストームメディア)も以前、「どういう意味か?宜蘭で国民党が呉宗憲氏を指名、民進党幹部が張勝徳氏に『難を逃れた』と祝意」との記事を配信している。同記事では、前立法院長(国会議長に相当)の王金平氏が、予備選に敗れた宜蘭県議会議長の張勝徳氏に対し、民進党幹部からの「祝意」を伝えたと報じた。これは、張氏が出馬していれば将来的に司法のターゲットにされるリスクがあったことを示唆している。すなわち、もし張氏が予備選を突破していれば、国民党は厄介な事態に直面していた可能性が高く、図らずも最悪のシナリオを回避した形となった。

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