台湾の最大野党・国民党の鄭麗文主席(党首)が7日、訪問団を率いて中国入りした。訪問団には、「1992年コンセンサス(九二共識)」の名付け親で、元国家安全会議(国安会)秘書長の蘇起氏の姿も見られた。蘇氏は、与党・民進党の「闘(闘争、対立)」路線は偶発的な大惨事を引き起こす可能性が極めて高く、その結果、ウクライナやガザ、イランを上回る深刻な事態を引き起こす恐れがあると指摘。また仮に「問題の先送り(拖以待変)」を選択した場合、最終的な局面における危機を増大させるだけだと述べ、鄭氏率いる国民党が「和(平和、和解)」のイメージを強力に打ち出すことを全面的に支持すると語った。
蘇氏によると、自身が訪中団への参加を打診されたのは、鄭氏が中国訪問を発表した後で、鄭氏の考えや政策を完全に支持していたため、同行を快諾したという。
「闘」路線はウクライナやガザ以上の大惨事引き起こす可能性も
また蘇氏は、民進党政権は過去10年間、完全に「闘」路線を打ち出し、国内のみならず対外的にも対立を煽り、とりわけ両岸(中台)関係においては「接触せず、交渉せず、妥協せず」の姿勢を貫いてきたと指摘した。その結果、台湾海峡の安全保障に懸念が生じただけでなく、経済的にも深刻な打撃を受けていると強調。世界情勢が激動し、各地で戦火が上がる中、国際社会は台湾が次の紛争地になり、ウクライナやガザ、イラン以上の深刻な事態が生じると危惧していると述べた上で、民進党の「闘」路線は、偶発的な大惨事を引き起こす危険性が極めて高いと訴えた。
こうした状況を背景に蘇氏は、鄭氏率いる国民党が強力に打ち出す「和」路線を全面的に支持すると表明。対外的に平和を追求し、国内で二大政党間の和解を模索することで、台湾の民衆が安心して生活できるだけでなく、地域や国際社会も安心が得られると説明。(今回の訪中は、現職の国民党主席として)10年ぶりに踏み出した一歩であり、当然、困難はあるが、台湾海峡の平和と台湾の繁栄のためにその価値は十分にあると述べた。
また蘇氏は、台湾の唯一の活路は「和」路線を明確に打ち出すことにあると強調。対外的な平和と国内の和解は必然的に連動するもので、「外は和、内は闘」あるいは「外は闘、内は和」といった状況はあり得ないと指摘した。
馬英九時代の「和」路線は「問題の先送り」に変容
蘇氏は、本来「和」路線は馬英九政権(2008〜2016年)初期に採用された路線で、国内外から高い評価を得たが、不幸なことに、その後の政権担当者が「和」理論の構築に積極的に取り組まず、むしろ「和」勢力の力が分散されるのを放置したと批判。「和」の思想的基盤と政治的実力が徐々に失われ、結果として「問題の先送り」に陥ってしまったと述べた。
蘇氏は現在の全体的な情勢を見据え、「闘」も「問題の先送り」も台湾にとって最も有利な道ではないと分析。「闘」は台湾内部を分断から動乱へと向かわせるだけであり、対外的には想像を絶する深い泥沼へと突き落とすことになると警告した。一方、「問題の先送り」は最終局面における危機を増大させるだけだと断じた。
島国である台湾の民衆は安全保障上の強い「安心感」を求めている、と蘇氏は分析する。現在、両岸の距離が縮まる中で、安心感への欲求はかつてなく強まっており、政治指導者には国民に安心感を与える責任があると指摘した。同時に、米中両大国も、状況が変わりやすい台湾に対して、これまで以上に「予測可能性」を求めているという。台湾がこのタイミングで明確に「和」路線を打ち出すことは、国内の民心を満たしつつ、大国の懸念を払拭する、まさに一石二鳥の策だと締めくくった。
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編集:平松靖史 (関連記事: 【舞台裏】「私には天命がある」鄭麗文氏の自信と国共会談の行方 相次ぐ司法リスク回避で国民党に勝機は巡るか | 関連記事をもっと読む )


















































