10年ぶりの国共トップ会談へ 鄭麗文主席は習近平氏の「真意」を読み違えていないか

両岸関係者は以前、台湾の最大野党・国民党主席の鄭麗文氏に対し、中国がすでに米中関係を通じて台湾問題を処理する方針を固めていると直接忠告した。(写真/顏麟宇撮影)
両岸関係者は以前、台湾の最大野党・国民党主席の鄭麗文氏に対し、中国がすでに米中関係を通じて台湾問題を処理する方針を固めていると直接忠告した。(写真/顏麟宇撮影)
国民党主席の訪中迫る、「鄭習会談」が台湾政局と両岸関係に与える影響

台湾の最大野党・国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席が4月7日、訪中団を率いて出発する。10日に予定されている中国共産党のトップ・習近平総書記との会談(鄭習会談)は、国共両党の最高指導者が10年ぶりに集う場として、国内外から大きな注目を集めている。

年末に控える台湾の選挙情勢において、この訪中成果が国民党に追い風となるのか、あるいは対応を誤り与党・民進党に反撃の口実を与える「逆効果」となるのか。中国側がどのような優遇措置を提示するのかを含め、その動向が注視されている。

今回の会談は、2016年の洪秀柱(こう・しゅうちゅう)主席(当時)と習氏の会談以来となる、両党トップの直接対話だ。しかし、この華々しい舞台を前に、ある中台関係の消息筋は「鄭氏にとって利益よりも不利益の方が大きい恐れがある」と内々に分析している。その背景には、鄭氏が習氏の抱く「ある変化」を十分に理解していないという懸念があるという。

鄭氏の訪中日程が判明、「鄭習会談」は4月10日に開催予定

関係者によると、鄭主席の訪中スケジュールは以下の通りだ。

  • 4月7日:中国へ出発。
  • 4月8日:南京市の「中山陵」を参拝後、上海へ移動し行事に出席。
  • 4月9日:午後、北上して北京市へ移動。
  • 4月10日:全世界が注視する「鄭習会談」が実施される見通し。
    中国共産党の習近平総書記からの招待を受け、国民党主席の鄭麗文氏は4月7日から12日にかけて訪問団を率いて江蘇省、上海市、北京市を歴訪する。写真は30日、国民党中央党部で記者会見を開き、招待への感謝と受諾を表明する鄭氏。(中央社記者張皓安撮影、115年3月30日)
    中国共産党の習近平総書記からの招待を受け、国民党主席の鄭麗文氏は4月7日から12日にかけて訪問団を率いて江蘇省、上海市、北京市を歴訪する。写真は30日、国民党中央党部で記者会見を開き、招待への感謝と受諾を表明する鄭氏。(写真/中央社提供)

習近平氏との会談における「得」と「失」

​前出の消息筋は、昨年末から鄭氏の出発直前にかけて、鄭氏本人や国民党幹部と個別に面会し、会談の議題について議論を重ねてきた。鄭氏はすでに「決意は固まっている」として訪中を強行する姿勢を示しており、党幹部も水面下での調整に奔走している。しかし、同氏は全体的な見立てとして、今回の訪中が国民党に大きなプラスをもたらすとは考えにくいと率直に語る。

「今回の訪問で何を得たいのか、そして習氏に会うことで何を失うのか、熟考すべきだ」

同消息筋の観察によれば、鄭氏はこの得失について万全の準備ができていないように見受けられる。特に、習氏が現在両岸関係を見る視点は、以前とは決定的に異なっている。

変容する中国の視点 米中「G2」格局の台頭

​かつて米国は、第1列島線における権益を維持するため、台湾海峡の現状変更を望まなかった。それに対し中国側は「台湾人民に希望を託す(台湾人民に期待をかける)」という方針を掲げていた。台湾内部から統一を求める声が高まってこそ、米国に手を引かせることができると考えていたからだ。
(関連記事: 【舞台裏】なぜ習近平氏は「素人」の鄭麗文氏を厚遇するのか 4月10日の会談に隠された暗号 関連記事をもっと読む

しかし、中国の国力台頭に伴い、情勢は一変した。2018年、トランプ前政権(第1期)が貿易摩擦を仕掛けた際、中国は妥協的な交渉に応じるしかなかった。だが、現在のトランプ第2期政権下において、中国は報復関税を課し、徹底抗戦の構えを見せている。昨年10月、韓国・釜山での米中首脳会談においても、米国はすでに世界が「G2」格局にあることを認めざるを得ない状況となっている。

習氏とトランプ氏による釜山での会談は、今後の両岸関係のみならずインド太平洋地域の構図に深刻な影響を及ぼしている。(米ホワイトハウス公式サイトより、風傳媒合成)
習氏とトランプ氏による釜山での会談は、今後の両岸関係のみならずインド太平洋地域の構図に深刻な影響を及ぼしている。(写真/米ホワイトハウス公式サイト提供、風傳媒合成)

国際情勢の転換 中国は台湾問題を米国と直接協議する方針へ

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