台湾・頼政権、脱原発から「原発回帰」へ舵取り 世論の支持急増、AI需要が背景に

台湾総統・頼清徳氏は今年3月21日、第2原発および第3原発が再稼働の条件を満たしていると述べ、すでに再稼働に向けた手続きの準備に入っていることを明らかにした。(写真/中央通訊社記者・王飛華撮影)
台湾総統・頼清徳氏は今年3月21日、第2原発および第3原発が再稼働の条件を満たしていると述べ、すでに再稼働に向けた手続きの準備に入っていることを明らかにした。(写真/中央通訊社記者・王飛華撮影)

国際エネルギー機関(IEA)が2026年2月に発表した報告書『Electricity 2026』は、今後5年間の世界の電力需要が年平均3.6%増加し、過去10年の平均を50%上回ると予測している。ハイテク製造業の拡大や人工知能(AI)の発展、異常気象の影響を受け、各国のエネルギー需要が急増する中、台湾のエネルギー政策が大きな転換点を迎えている。

台湾のネットメディア『美麗島電子報』が2026年3月に実施した最新の世論調査によると、台湾民衆の原子力発電に対する支持率は近年で最高を記録し、構造的な意識の変化が生じていることが明らかになった。

原発支持が6割超、与党・民進党支持層にも「変化」

​調査結果によると、台湾における原発利用について「メリットがデメリットを上回る」と回答した割合は63.2%に達し、2021年から17.6ポイント急増した。一方、「デメリットがメリットを上回る」との回答は18.7%にとどまり、この5年間で民意が大きく反転した格好だ。

特筆すべきは、与党・民進党の支持層においても「メリットが上回る」との回答が47.8%に達し、「デメリット」の30.1%を大きく上回った点だ。野党支持層(国民党84.8%、民衆党88.2%)や無党派層(63.3%)の多くも原発を支持しており、現実的な電力不足への懸念とAI産業の発展を背景に、エネルギー政策に対する超党派のコンセンサスが形成されつつある。

頼総統、第2・第3原発の再稼働を検討

​民進党は40年間にわたり「非核家園(脱原発)」の目標を堅持し、2025年5月には第3原発2号機の停止をもって原発全廃を事実上達成したはずであった。しかし、頼清徳総統は今年3月21日、第2原発および第3原発について「再稼働の条件を備えている」とし、準備を進める方針を表明した。

この動向に対し、世論の55.4%が「民進党の従来の反原発路線を覆すものだ」と認識している。特に高学歴層や中高年層では、頼氏が「原発推進へ方針転換した」と考える割合が6割を超えた。

AI産業の発展が「原発回帰」の決定打に

​世論調査では、経済状況に不満を持つ層のうち、69.7%が原発利用を支持している。頼氏はこれまで「2032年まで電力供給は安定している」と述べてきたが、今回の急激な方針転換の背景には、AI産業の爆発的な発展と、それに伴うデータセンターの電力大量消費という現実的な課題がある。

頼氏は最近の取材に対し、「脱原発の目標は第3原発2号機の停止をもってすでに達成された」と言及した。これは、脱原発を一つの「段階的任務」として完了させ、直ちに実利的な「原発回帰」へと舵を切るための論理構築とみられる。AI時代において、安定した電力供給は台湾の国家戦略における最優先課題となっており、長年の党是であった「脱原発」が事実上の終焉を迎えようとしている。

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