トランプ訪中前の「鄭・習会談」へ 米国の静観と「一つの中国」解釈が焦点に

2026年3月30日、中国訪問団の率領について記者会見を行う国民党の鄭麗文主席。(写真/顔麟宇撮影)
2026年3月30日、中国訪問団の率領について記者会見を行う国民党の鄭麗文主席。(写真/顔麟宇撮影)

中国当局の招待を受け、台湾の最大野党・国民党の鄭麗文主席が4月7日から12日にかけて、江蘇、上海、北京を訪問する。焦点は習近平国家主席との「会談」の実現だが、この動きは国民党内部を含む台湾国内で政治的な波紋を広げる可能性がある。これについて、国際的なシンクタンクの専門家は「米国が会談を阻止することはないだろう」と予測する一方、鄭氏による「一つの中国」を巡る発言や立場が厳しく問われることになると指摘した。

北京は鄭氏を利用しトランプ政権に「圧力」か

台湾外国人記者クラブ(TFCC)の元会長で、現在は「国際危機グループ(ICG)」の北東アジアチームのシニアアナリストを務める楊晧暐(ウィリアム・ヤン)氏は、台湾メディア『風傳媒』の取材に対し、中国側が既に鄭氏を招待し、しかも習氏本人が関与している以上、米国がこの件に直接介入したり、鄭氏の北京訪問に反対したりすることは考えにくく、「(会談は)確実に実現する」との見方を示した。

楊氏は「鄭・習会談」は不可避な流れであり、米側にとっても最大の懸念事項ではないと分析。その上で、中国側がトランプ米大統領との首脳会談に先んじて鄭氏との会談を設定したことについて、「台湾内部には北京との対話に極めて意欲的な政治家が存在するという強力なシグナルを国際社会に送る狙いがある」と解説した。

台湾問題を「ディール」の材料に

国際危機グループ(ICG)は、ベルギーの首都ブリュッセルに本部を置く非政府組織である。世界の情勢を長期にわたって注視し、紛争の発生防止や危機の予防・管理、さらには政府への政策提言を通じて、より平和な世界の構築に尽力している。台湾国内においては、与野党からその分析が非常に重視されている。

楊氏の解読によれば、トランプ大統領自身は首脳会談において台湾問題に触れることに消極的だが、中国側にとって台湾問題は最優先事項だ。「中国の狙いは、米中間の『取引(ディール)』の過程で、台湾問題における何らかの利益(ボーナス)を引き出すことにある」という。

中国側は一度の首脳会談ですべての譲歩を勝ち取ろうとは考えていない。しかし、トランプ政権が台湾への武器売却について何らかの調整に応じれば、それは中国にとって「勝利」を意味する。さらに中国側は、仮に武器売却が継続される場合、習氏が年内の訪米を見送るというカードも残している模様だ。

トランプ氏と習近平氏が韓国で会談、所要時間は約100分に及んだ。(米ホワイトハウス公式ウェブサイトより)
韓国で会談するトランプ米大統領と習近平国家主席。会談は約100分間に及んだ。(写真/ホワイトハウス公式サイトより)

中国主導の「演出」と鄭氏への「踏み絵」

国民党および台湾国内の情勢について、楊氏は、今回の会談のタイミングや中国側の手配において、過去と比較しても中国主導の痕跡がより強まっていると指摘する。「態勢は極めて鮮明だ」と同氏は語る。特に行程の最後に北京を配置したことは、重要なメッセージを最後に残す「クライマックス(重点的な締めくくり)」としての意図があり、各界の印象を会談の終盤に集中させる狙いがある。 (関連記事: 【舞台裏】なぜ習近平氏は「素人」の鄭麗文氏を厚遇するのか 4月10日の会談に隠された暗号 関連記事をもっと読む

しかし、これは国民党と鄭主席にとって重大な試練でもある。楊氏は、訪中の最終局面でどのような展開を見せるのか、また習主席との会談における公開発言でどのようなシグナルを発するかが、鄭主席にとっての深刻な挑戦になると分析する。「『92年コンセンサス』や『台湾独立反対』への言及は不可避だろう。その上で、『一つの中国』という概念をいかに定義し、論述するかが、彼女の真価を問うことになる」

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