トヨタ入社式、V8エンジン轟く 近健太新社長が語る「誰かのために」という原点

トヨタ入社式でV8エンジン音が轟き、近健太新社長が「誰かのために」という原点と挑戦の精神を2,317人の新入社員に伝えた。(写真/トヨタ自動車提供)
トヨタ入社式でV8エンジン音が轟き、近健太新社長が「誰かのために」という原点と挑戦の精神を2,317人の新入社員に伝えた。(写真/トヨタ自動車提供)

2026年4月1日、満開の桜が咲き誇る中、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社にて2026年度入社式が挙行され、2,317人の新入社員が新たな一歩を踏み出した。この日は、同社の第13代社長に就任した近健太氏にとっても社長としての初日となり、会場には「GR GT3」のエンジン音が響き渡るなど、自動車メーカーならではの熱気に包まれた式典となった。

創業の精神と未来への挑戦が共演

​式典の演壇には、昨年のジャパンモビリティショーで披露された「センチュリー」と、スポーツカー「GR GT3 Concept(プロトタイプ)」が展示された。その傍らには、トヨタグループの礎である豊田佐吉が1890年に発明した「豊田式木製人力織機」も並んだ。入社式の壇上にクルマが並び、エンジン音が轟くのは2019年以来のことであり、創業の精神と未来への挑戦が象徴される場となった。

「誰かのために」100年変わらぬ価値観

​新入社員を前に登壇した近社長は、豊田自動織機の創立から100年という節目に触れ、「私たちの歩みを支えてきた原点は『誰かのために』という想いにある」と強調した。

佐吉が、夜なべして機織りをする母を楽にしたいという一心で織機を発明したエピソードを引き合いに出し、この「誰かのために」という価値観は、100年経っても変わらずに継承すべき最も大切なものだと語りかけた。

また、近社長は創業者・豊田喜一郎氏の「日本人の頭と腕で、日本に自動車工業をつくらねばならない」という志に言及。壇上のセンチュリーについても、豊田章男会長が「次の100年をつくる挑戦」と位置づけていることを紹介し、「もっといいクルマをつくり、クルマの未来を変えていくためには、私たち一人ひとりが成長することが必要だ」と述べた。さらに、豊田章一郎名誉会長が遺した「新しいモノをつくるために知恵を絞り、誰かが喜んでくれたときの、このうえない喜び」という言葉を贈り、新入社員にエールを送った。

サプライズのV8サウンドが刻む記憶

​式典の終盤には、近社長の合図で中嶋裕樹副社長が「GR GT3」のシートに乗り込み、エンジンを始動させるサプライズが行われた。会場にはV8エンジンの重低音が数十秒間にわたって鳴り響き、空気は一変した。

近社長は「私の言葉は忘れても、この音はずっと覚えているはず。これから一緒に頑張っていきましょう」と語りかけ、クルマを愛する心を持ってほしいというメッセージを伝えた。参加した新入社員からは「自動車会社に入った実感が湧いた」「いつか自分もこのようなクルマに携わりたい」といった興奮の声が相次いだ。

「今日何ができるか」にフォーカスする経営

​入社式後のメディア取材に対し、近社長は「新入社員たちの真剣な眼差しをしっかり受け止め、経営陣も共に成長しなければならないという責任を感じた」と心境を明かした。

今後の経営については、「遠くを目指すよりも、今日何ができるかにフォーカスし、一日一日、一歩一歩進んでいくことが大事だ。人事や経理も含め、全員が『もっといいクルマづくりをするんだ』という意識を持つことが重要だ」と決意を語った。

編集:小田菜々香

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