衆院選における「高市現象」をデータで分析 JX通信社・米重代表が説く有権者の意識変容

JX通信社の米重代表は会見で、今年2月の衆院選における自民党の歴史的圧勝は、若年層の支持回帰とYouTubeなどを駆使した強力なネット地盤、そして野党支持層の溶解が複合的に作用した結果であると分析した。(写真/日本記者クラブ提供)
JX通信社の米重代表は会見で、今年2月の衆院選における自民党の歴史的圧勝は、若年層の支持回帰とYouTubeなどを駆使した強力なネット地盤、そして野党支持層の溶解が複合的に作用した結果であると分析した。(写真/日本記者クラブ提供)

日本記者クラブにて3日、「高市現象と日本の政治」と題した会見が開催され、JX通信社の米重克洋代表取締役が登壇した。会見では、岸田前首相の退陣から石破政権による少数与党への転落、そして高市首相就任に伴う公明党の連立離脱と日本維新の会との新連立、さらには立憲民主党と公明党による「中道改革連合」の結成といった激動の政治情勢を経て、自民党が316議席という歴史的圧勝を収めた今年2月の「真冬の総選挙」について、データに基づく詳細な分析が示された。司会はTBSテレビの岩田夏弥氏(日本記者クラブ企画委員)が務めた。

若年層の回帰と「ネット地盤」の威力

米重氏は、今回の自民党の比例得票率が2005年の郵政選挙を下回っているにもかかわらず、過去最大の議席を獲得した点に着目。この地滑り的勝利は「高市人気」という単一の要因だけでは説明できないと指摘した。

自民党の第一の勝因として挙げられたのは、弱点であった現役世代や若年層の支持回復だ。岸田・石破両政権下では、政治とカネの問題以上にインフレや物価高による生活不安から若年層の自民党離れが進み、国民民主党や参政党への流出が起きていた。しかし、高市政権の発足により、これらの無党派層や若年層の支持が急速に自民党へと回帰した。

第二の勝因として、強力な「ネット地盤」の存在が強調された。2021年を境に全年代の平均でインターネットの利用時間がテレビを上回り、特に50代以下の世代ではネット利用時間が長く、かつ投票に足を運ぶ層との重なりが拡大している。このメディアシフトを背景に、高市首相はYouTubeを中心とするネット情報空間で圧倒的な支持を集めた。特に、第三者の切り抜き職人による高市氏の人柄やキャラクターを肯定的に伝える動画が、再生回数を稼げるコンテンツとして収益化のサイクルに乗り大量に拡散された。これが選挙期間中に高市支持の勢いを雪だるま式に拡大させる大きな要因となった。

野党「中道改革連合」の敗因と支持層の「溶解」

一方で、最大野党である中道改革連合の歴史的敗北の最大の要因は、立憲民主党支持層の「溶解」にあると分析された。

選挙前は公明党票の大半が野党側にシフトすることで多数の小選挙区で逆転が起きると予想されていた。実際、公明票の約8割はシフトしたものの、本来合流するはずの立憲民主党支持層の約4割から5割が中道改革連合に投票せず離反した。

この離反は、創価学会に対するアレルギーというよりも、中道改革連合の党首や政策に対して積極的に支持する理由を見出せなかったことや、ネット上における同連合への圧倒的にネガティブな情報の氾濫が複合的に影響した可能性が高いと推測されている。

ジェンダー要素と調査精度的の変容

質疑応答では、初の女性首相というジェンダーの要素について言及された。政策面を重視して支持する男性に対し、女性有権者は初の女性トップという点や人柄への共感から、選挙期間の後半になって投票対象を高市氏へと決める傾向があり、これが選挙終盤での自民党の議席予測の伸びに繋がったとの見解が示された。

また、ネット地盤の持続性については、強固な核となるエコチェンバー内の支持層は長く残る一方で、その周辺にいる有権者は移ろいやすいという二面性があることが指摘された。さらに、各種情勢調査において、ネット地盤を持つ政党の動向を捉える上では、固定電話の普及率低下も相まって、従来の電話調査よりもネット調査の方が実際の開票結果に近い精度を示している現状も報告された。

編集:小田菜々香

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