台湾の「医文双絶」陳耀昌氏を偲ぶ 東京で追悼式と新刊『台湾の夜明け』発表会を開催

医学と文学に一生を捧げた陳耀昌氏の追思会が東京で開催され、日台の出席者がその多大な功績と新刊『台湾の夜明け』の出版を祝し、故人を偲んだ。(写真/台湾文化センター提供)
医学と文学に一生を捧げた陳耀昌氏の追思会が東京で開催され、日台の出席者がその多大な功績と新刊『台湾の夜明け』の出版を祝し、故人を偲んだ。(写真/台湾文化センター提供)

台湾の血液腫瘍医学の権威であり、骨髄移植の先駆者、そして歴史小説家としても名高い陳耀昌(チェン・ヤオチャン)氏が、昨年11月17日、76歳で逝去した。医学と文学の両分野で台湾社会に深い影響を与えた同氏を偲び、日本の出版社・左右社と台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは27日夜、都内で追思会および新刊発表会を共同開催した。

医学と文学で結ぶ日台の絆

会合には、駐日代表処の周学佑(シュウ・ガクユウ)公使が李逸洋(リ・イツヨウ)大使の代理として出席した。周公使は挨拶の中で、陳氏が医学の発展に尽力する傍ら、多民族的な視点から台湾の歴史を捉え直し、文学を通じて台湾の多様な姿を提示してきた功績を強調。「陳氏の著作は日本でも多く翻訳されており、国境を越えて読者の共鳴を呼び、台湾の歴史と文化に対する日本の方々の理解を深める一助となった」と述べた。

追思会では、陳氏と10年来の親交があった天理大学の下村作次郎名誉教授が、同氏の生涯と創作思想を紹介した。下村教授は、代表作『傀儡花(くぐつばな)』を贈られた思い出や、長年の指導に対する感謝を伝え、深い哀悼の意を表した。また、陳氏が手がけた「花シリーズ」の歴史小説は、台湾における歴史文学の重要な規範を打ち立てたと評価した。

新刊『台湾の夜明け』と音楽での追悼

さらに、日本統治時代の社会運動家・盧丙丁(ロ・ヘイテイ)と歌手・林氏好(リン・シコウ)夫妻の生涯を描いた小説『島之曦』の邦訳版『台湾の夜明け』が今月出版されたことを受け、訳者の大洞敦史氏も登壇した。大洞氏は当時の台湾の社会運動や文化背景を解説。会場では、盧丙丁が作詞し妻に捧げた楽曲『月下揺船』を、三味線を用いて台湾語と日本語で弾き語り、故人を偲ぶ温かな雰囲気に包まれた。

陳耀昌氏の足跡

陳耀昌氏は1949年、台湾台南市生まれ。台湾大学医学部を卒業し、同大学の名誉教授を務めた。2002年から文学創作を本格化させ、2016年の『傀儡花』は「台湾文学賞」長編小説金典賞を受賞。同作はドラマ『スカルノ(斯卡羅)』の原作としても大きな話題を呼んだ。その後も『獅頭花』『苦楝花 Bangas』『島之曦』と執筆を続け、一貫して多族群の視点から台湾史を描き続けた。その多大なる貢献に対し、台湾政府からは総統褒揚令(総統勲章)が授与されている。

編集:小田菜々香

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