中国「国家統一法」制定か、台湾特区政府準備処設置の可能性も 台湾併合に向けた動きの具体化に識者懸念

中国で7月1日に「民族団結進歩促進法」が施行されたことを受け、識者らが座談会を開催し、台湾への影響について議論した。左から中央研究院(中研院)法律学研究所の陳玉潔副研究員、台湾師範大学東アジア学系の范世平教授、大陸委員会の梁文傑副主任委員、台北地方法院国安専門法廷裁判官の許凱傑氏、台北海洋科技大学講師の呉瑟致氏。(撮影/楊騰凱)
中国で7月1日に「民族団結進歩促進法」が施行されたことを受け、識者らが座談会を開催し、台湾への影響について議論した。左から中央研究院(中研院)法律学研究所の陳玉潔副研究員、台湾師範大学東アジア学系の范世平教授、大陸委員会の梁文傑副主任委員、台北地方法院国安専門法廷裁判官の許凱傑氏、台北海洋科技大学講師の呉瑟致氏。(撮影/楊騰凱)

中国で7月1日、中華人民共和国の公民に国家統一の維持を義務づける「民族団結進歩促進法」が施行された。台湾をさらにけん制するための中国政府の次なる一手として、「国家統一法」の制定が打ち出されるかどうかに注目が集まっている。専門家は、「国家統一法」の制定は現実味を帯びており、中国共産党主導の下で台湾の未来を一方的に協議する「台湾特区政府準備処」が設立される可能性もあると指摘している。

民間団体の中華亜太菁英交流協会は同日、「強制統一?越境弾圧?:中共『民族団結進歩促進法』が台湾に与える影響と対策」と題する座談会を開催した。

「民族団結進歩促進法」第10条では、中華人民共和国の公民は国家の統一および全国の各民族の団結を維持する義務を負い、国家の主権、安全、発展の利益を守らなければならないと規定される。

同法の施行を受け、中国が今後「国家統一法」を制定し、台湾に対する法的拘束力をさらに強めるのではないかとの見方が広がっている。

国家統一はもはや構想の段階ではない

台湾師範大学東アジア学科の范世平教授は、「『国家統一法』が制定される可能性は極めて高く、『国家統一委員会』を設立し、台湾の政財界関係者に参加を要請する可能性もある」と指摘した。その背景として、中国が国家統一に関する具体的な計画にすでに言及していることを挙げ、「もはや単なる構想の段階ではなく、将来的に『台湾特区政府準備処』が設置される可能性すらある」と警鐘を鳴らした。

台湾師範大学東アジア学系の范世平教授は16日、国家安全研究学会の「『米中首脳会談』後の米中台関係」座談会に出席した。(撮影:柯承恵)
范世平教授は、中国が「国家統一法」制定するだけでなく、「台湾特区政府準備処」を設立する可能性もあると指摘した。(資料写撮影:柯承恵)

范氏はさらに、「もし『台湾特別行政区準備処』が設立され、台湾で知名度のある人物を主任委員に起用したり、さらには『全国政治協商会議(全国政協)副主席』のポストを用意した場合、台湾内には就任要請に応じる者が現れるだろう」との見方を示した。こうした動きは、統一が未来の話ではなく、すでに現在進行形で準備が進められていることを台湾人に印象付ける狙いをもって進められると指摘した。

習近平体制5期目に向けた重要な実績に

また、一連の動きは習近平中国共産党総書記の体制が5期目を迎える際の重要な政治的実績として位置づけられる可能性がある。范氏は「いずれ人民大会堂で『国家統一促進会』などの大規模な会議が開催され、台湾からも多数の人物が参加するといった事態が起こり得る」と懸念を示した。

台北海洋科技大学の呉瑟致教授も、将来的な「国家統一法」制定の可能性は高いとの見方を示す。「国家統一法」を根拠に関連組織が設立される見通しで、習氏にとってこうした組織の存在は極めて重要となるためだと指摘。習氏が2019年の「習五点(台湾同胞に告げる書発表40周年記念講話)」で提起した「一国二制度の台湾モデル」において、これらの組織を通じて中国が主導する民主的協議のプラットフォームを構築する狙いがあるとの認識を示した。

呉氏はまた、「誰がこのプラットフォームに参加するのかが焦点となる」と強調した。過去2年間の「対台湾工作会議」において、中国は台湾内の「愛国統一勢力」を支援する方針を繰り返し示しており、こうした勢力の動きが今後さらに表面化していくとの見方を示した。

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編集:平松靖史

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