【台湾政界の舞台裏】頼清徳氏、2028年見据え党内基盤固め 全代会前に進めた「先手」とは

民進党は7月19日に全国党員代表大会(全代会)を開き、党の意思決定を担う中央役職を改選する。今回の全代会は2028年の総統選・立法委員選にも影響を及ぼすとみられ、頼清徳総統兼民進党主席(写真)は早い段階から全面的な布陣を進めてきた。(資料写真/劉偉宏撮影)
民進党は7月19日に全国党員代表大会(全代会)を開き、党の意思決定を担う中央役職を改選する。今回の全代会は2028年の総統選・立法委員選にも影響を及ぼすとみられ、頼清徳総統兼民進党主席(写真)は早い段階から全面的な布陣を進めてきた。(資料写真/劉偉宏撮影)

台湾の与党・民主進歩党(民進党)は7月19日、台北国際会議センターで全国党員代表大会(全代会)を開き、中央常務委員(中常委)、中央執行委員(中執委)、中央評議委員(中評委)などの中央役職を改選する。

今回の改選は、頼清徳総統に近い勢力が主導権を握り、党内の反対勢力が動きにくい構図になるとみられている。一見すると波乱の少ない選挙に映るが、その背景には、頼氏側が早い段階から進めてきた党内基盤固めがある。

頼氏が警戒を強める理由として、党内では二つの経験が挙げられている。一つは、総統就任直後に行われた2024年の全代会で、頼氏側の想定通りに中央役職の人事がまとまらなかったこと。もう一つは、頼氏自身が2019年、再選を目指していた蔡英文総統(当時)に党内予備選で挑戦し、民進党内を二分する激しい争いとなったことだ。

党内関係者の間では、頼氏側が2028年の総統選に向け、同様の党内対立が再現される可能性を抑えようとしているとの見方が出ている。

民進党は2026年7月19日に全代会を開催する。前回の派閥による奇襲や面目丸潰れの事態を避けるため、頼清徳氏はすでに障害の排除を終えている。(写真=劉偉宏撮影)
民進党は2026年7月19日に全代会を開催する。頼清徳氏は、前回のように派閥の想定外の動きで主導権を崩される事態を避けるため、早くから党内調整を進めてきた。(写真/劉偉宏撮影)

2024年全代会、頼氏側の配票に狂い

​今回の中執委選挙には、定数30に対して35人が立候補した。選出された中執委が、10人の中常委を互選する。中評委は定数11に対して13人が立候補し、選出後に主任委員1人を決める。

2024年の全代会では、親頼派が中常委10枠の大半を確保すると予想されていた。しかし、前桃園市長の鄭文燦氏に近い呂林小鳳中執委が、林宜瑾立法委員への投票時に、自身の名前の下へ意図的に指印を押して無効票とした。

呂氏はその後、選挙で新潮流系が桃園陣営を捨て駒のように扱ったことへの抗議だったと説明。当時、司法案件を抱えていた鄭氏への扱いに対する不満もあったとしている。

この無効票によって新潮流系の配票計画が崩れ、頼氏に近い林氏は、陳亭妃、蘇治芬、洪申翰の各氏と同票になった。抽選の結果、林氏は落選し、当時「正国会」から除名されていた陳亭妃氏が中常委に選ばれた。

この過程では、頼氏が党内の有力者に支持票を求めたものの、断られたとされる。頼氏側にとって、2024年の党職選挙は、総統に就任しても党内人事を完全には掌握できない現実を示すものとなった。

2028年の総統選や立法委員選の公認にも影響し得る今回の中央役職改選を前に、頼氏側は早い段階から党内調整に動いてきたとみられる。

燦派の呂林小鳳氏は2024年の中常委選挙の際、意図的に無効票を投じ、新潮流の票割りを完全に狂わせた。(写真=顔麟宇撮影)
鄭文燦氏に近い呂林小鳳氏は、2024年の中常委選挙で意図的に無効票を投じ、新潮流系の配票計画を大きく狂わせた。(写真/顔麟宇撮影)

「蔡・頼対決」の再現を防ぐ狙いか

頼氏側がもう一つ警戒しているとされるのが、2019年の民進党総統候補予備選だ。

当時行政院長を退任した頼氏は、総統再選を目指していた蔡英文氏に挑戦した。最終的に蔡氏が予備選を制したものの、選挙戦は党内に深刻な対立を残した。

かつて挑戦者だった頼氏は、現在は再選を目指す側に立っている。ある党内関係者は、2028年の総統選を前に新たな挑戦者が現れる可能性を抑えるため、頼氏側が早くから党内制度と人事の調整を進めてきたと分析する。 (関連記事: 台湾―中国直行便は拡大するか 経済団体が西安・昆明線を要望、当局は西安を検討へ 関連記事をもっと読む

その一つが、地方党部主任委員の改選時期の変更だ。

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