「傲慢なCEOは衰退の始まり」TSMC魏哲家会長が自虐で沸かせた名誉博士受諾演説 「AI介護ロボット」を半導体技術の集大成と定義
アジア大学から名誉博士号を授与されたTSMCの魏哲家会長。TSMC(台湾積体電路製造)の魏哲家会長(写真)は21日、アジア大学より名誉博士号を授与された。魏氏は講演でAI(人工知能)の発展について持論を展開したほか、自身を引き立ててくれたTSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏に対し、深い感謝の意を述べた。(中央社記者・趙麗妍撮影=2026年3月21日)
半導体受託製造(ファウンドリー)の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家董事長(会長)は21日、亜洲大学(アジア大学、台中市)の創立25周年記念式典に出席し、同大から名誉博士号を授与された。授与式でのスピーチで魏氏は冒頭に「実は少し後悔している」と述べ、その理由として「あちこちで講演したがる者は例外なく傲慢な人間だし、名誉博士を受ける者も同じだ」と語り、ユーモアで会場を沸かせた。
一方、この軽妙な講演の中で魏氏は、AIがデータセンターから介護の現場へと浸透していく未来を深く分析し、次世代のAI応用においてTSMCが担う不可欠な役割についての見通しも示した。
リーダーの傲慢が企業衰退の始まり
魏氏は演説の中で、亜洲大学(アジア大学)から学位授与の打診を受けた際、当初は大きな戸惑いを感じていたと明かした。TSMCの今日の成功は創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏が築いた強固な基礎と従業員の努力の賜物であり、「自身の貢献はわずかだ」と謙虚な姿勢を示した。
また、2018年にCEOに就任した際、友人からジム・コリンズの経営名著『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階(原題:How the Mighty Fall)』を贈られたエピソードに言及。同書が「リーダーの傲慢(Arrogant)こそが、企業の衰退の始まりである」と警告していることに触れた。
魏氏は冗談めかして、「当時は『あちこちで講演すること』や『学位を受けること』こそが傲慢の兆候であり、会社を誤った方向へ導くのではないかと恐れていた」と語った。最終的に考えを変えた理由も「魏氏流」のユーモアに溢れている。一つは「医師との良好な関係を維持するため(将来を考えて縁を切るわけにはいかない)」、そしてもう一つは「授業や試験を受けずに博士号をもらえる機会は滅多にない」からだと笑いを誘った。
この自虐的な導入は、会場の緊張を解きほぐすと同時に、AIがクラウドから現実の生活空間へと降りてくるという、魏氏が描くマクロな思考を導き出す布石となった。
技術の飛躍 0.25μmから2nmへ、「100倍速」の進化
魏氏はこの進化を独自の比喩で表現した。「もし20年前の100メートル走の記録が10秒だったとしたら、今日の進歩は0.1秒で走り切ることに相当する。また、20年前に100万台湾ドルした車が、今日では同じ進歩の幅でいえばわずか1万で買える計算だ」。このハードウェア性能の「非線形的な躍進」こそが、AIを概念から産業の現実へと変えた原動力であると語った。
医療応用について、魏氏はインフルエンザ診断を例に挙げ、AIが十分な病理データや地域の疫学情報、診断経験を蓄積すれば、その的中率は95%に達すると予測。しかし、AIによる問診補助は序の口に過ぎず、高齢化社会における「介護ロボット」の需要こそが、次に控える緊急性の高いブルーオーシャン市場であると強調した。
介護ロボットは半導体・センサー技術の集大成
今回の演説で最も注目を集めたのは、魏氏による「ロボット産業」の解体新書だ。同氏は、介護ロボットに求められるのは「バク転をしたりダンスをしたりする」といった展示用のパフォーマンスではなく、極めて精密な感知能力を備えた複合システムであると断言した。
魏氏はロボットに必要な3つの機能を分析。第一に「視覚と触覚」だ。対象を捉え、接触するためには、位置を正確に把握する光学センサーと、抱きしめる際の力を適度に調整する圧力センサーが不可欠となる。第二に「精密な温度管理」。これにより、20度と100度の差を識別する。第三に「神経伝達」に類する機能。あらゆる感知情報は高速ネットワーク(5G/6G)を通じて「脳」へと転送され、演算を経て動作へと変換される。これら全ての基盤を支えているのが半導体である。
魏氏は、ロボットの「脳」にあたるソフトウェアは米系大手企業が主導しているものの、製造面では「その95%以上がTSMCで生産されている」と指摘。これは、NVIDIAやAMDといったAI演算プラットフォームの底上げを担うだけでなく、センサーや通信デバイスの量産における優位性をさらに拡大させようとする同社の姿勢を示している。
経営の核心「信頼性」が競争力の門戸を築く
介護ロボットが家庭に普及するための鍵として、魏氏は「コスト管理」と「信頼性(Reliability)」を挙げた。同氏は「将来、自分が使うロボットに内蔵されるトランジスタは、ぜひTSMC製であってほしい。他社製だったら、使うのを少し躊躇してしまうね」と笑いを誘った。
また、AIが医療にもたらす力についても言及。「AIが医師に取って代わるのではなく、医師を反復的な重労働から解放するものだ」と語った。さらに、TSMCが「過酷な労働」と言われることに対し、「本当の意味で『過酷な労働』なのは医師の方だ。彼らは労働基準法の枠外にあり、ある意味で『幸運』だ」とユーモアを交えて比較。TSMCが労働検査の罰金ランキングで台湾7位になったことに触れ、「少し恥ずかしいことだ」と自嘲気味に語った。
演説の最後、魏氏は亜洲大学(アジア大学)の学生に対し「卒業後はぜひTSMCへ」と呼びかけた。そして、家族や同僚、そして創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏に対し、自身の歩みを支えてくれた力への感謝を述べ、「この恩を忘れることは決してない」と感慨深く結んだ。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
トヨタ、品川に「新東京本社」着工 2029年度開業へ、モビリティ変革の拠点にトヨタ自動車は2025年5月26日、京浜急行電鉄(京急電鉄)と共同で進めている「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」について、同月31日に着工すると発表した。日本屈指の交通結節点である品川駅前に、2029年度、新たな都心の拠点となる「新東京本社」を開業する。モビリティカンパニーへの変革を牽引トヨタは現在、「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」を柱に、......
エヌビディア、対中「H200」輸出再開へ 中国が輸入容認、売上の25%は米財務省へ納付米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が、中国当局から「H200」チップの対中販売について正式な承認を得たもようだ。これを受け、同社は生産ラインを再開したほか、中国市場向けにカスタマイズされた別のAIチップ「Groq(グロック)」の準備も進めているという。ロイター通信によると、長らく待ち望まれていたこの輸出容認により、エヌビディアにとって最大の懸念が解消さ......
春の息吹を感じる空間 グランツリー武蔵小杉で3月20日より「スプリングフェスタ」開催神奈川県川崎市の大型ショッピングモール「GRAND TREE MUSASHIKOSUGI(グランツリー武蔵小杉)」では、2026年3月20日(金・祝)から4月5日(日)までの期間、「スプリングフェスタ」が開催される。本イベントでは、親子で楽しめる体験型コンテンツをはじめ、春の訪れを感じさせる限定スイーツやグルメ、新生活に向けた最新ファッション、ライフスタイル......
新宿駅西口の風景を一新する巨大プロジェクト 2030年の完成に向け着々と進行中巨大ターミナル・新宿駅西口の景観が、数年後の完成に向けて着実な変化を遂げている。小田急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)、東急不動産の3社が共同で推進する「新宿駅西口地区開発計画」は、2022年10月の既存建物解体着手を皮切りに、2024年3月には新築工事へと移行した。現在は2030年3月下旬の竣工を目指し、日本最大級の都市再生事業が着々と進められている。ランド......
トランプ氏「5日以内に合意」もイラン全否定 米軍は第82空挺師団投入を準備かトランプ米大統領は23日、「イランと交渉中であり、5日以内に合意できる可能性が高い」と述べ、イランの発電所への攻撃延期を発表した。しかし、イラン側は直ちにこの主張を否定。テヘランやベイルートの夜空は、依然として無人機やミサイルによる爆発音とともに赤く染まり続けている。英紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』は、トランプ氏が実際に合意に達することができるのか疑......
トランプ氏「5日以内の合意」主張にイランは全否定 最大限の圧力と「秘密交渉」の羅生門米軍によるイランの発電所およびエネルギー施設への「壊滅的打撃」のカウントダウンが進む中、トランプ米大統領は突如としてブレーキを踏んだ。トランプ氏は23日、SNSへの投稿で、米国政府がイラン当局と交渉を開始したことを明らかにした。中東で3週間続く激しい紛争の終結に向け、「敵対状態の全面的かつ徹底的な解決」を目指し協議を行っているという。トランプ氏は、エネルギー......
都心の春を五感で満喫、森ビルが「アークヒルズ さくらまつり 2026」を3月27日より開催森ビル株式会社は、都心の春を満喫する恒例イベント「アークヒルズ さくらまつり 2026」を、2026年3月27日から29日までの3日間、アークヒルズのアーク・カラヤン広場などで開催する。本イベントでは、桜海老などの旬の食材を用いた各国料理を提供する12店舗のグルメ屋台が出店。また、世界的フラワーアーティストの岩井淳氏が手掛けるダイナミックな桜の装飾が行われ、......
六本木ヒルズで「春まつり 2026」開催へ、京都薪能や創作歌舞伎など伝統芸能が集結森ビル株式会社は、2026年4月3日から5日までの3日間、六本木ヒルズにて「六本木ヒルズ 春まつり 2026」を開催する。都会の中心で日本の伝統芸能や食文化を五感で楽しむことができる本イベントでは、初日に京都の初夏の風物詩である「京都薪能」のスペシャルプレ公演が行われ、春の清水寺を舞台にした能『花月』が披露される。続く4日には、中村橋吾らが出演する創作歌舞伎......
【林庭瑤コラム】トランプ氏の中東護衛要請、台湾・頼清徳総統が艦隊遠征?アメリカ、イスラエル、イランをめぐる中東の戦局は、まさに「尻尾が犬を振る(Wag the dog)」というブラックコメディの様相を呈している。イスラエルが執拗に火種を作り、アメリカがそれに巻き込まれた結果、イランとの「非対称戦」の泥沼で進退窮まっているのである。ドナルド・トランプ氏がドイツ、フランス、日本、オーストラリア、さらには中国に対して「護衛の招集令」......
トランプ米大統領、イランに最後通牒 48時間以内のホルムズ海峡開放を要求トランプ米大統領は22日、自身のSNSを通じ、イランに対して最後通牒を突きつけた。テヘラン当局が48時間以内にホルムズ海峡を完全に再開放しなければ、米軍はイランの発電所を「撃破し、壊滅させる」と警告。さらに、「最大規模のものから着手する」と付け加えた。英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、トランプ氏が前日に軍事行動の「段階的な終結」を検討していると発言したば......
G7外相、イランによる中東諸国への攻撃を強く非難 エネルギー市場安定へ結束表明G7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ)の外相および欧州連合(EU)上級代表は、イラン・イスラム共和国とその代理勢力による正当化できない攻撃に直面している中東地域のパートナー諸国に対し、強い支持を表明する声明を発表した。声明では、国連安保理決議第2817号に基づき、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ......
全公演完売のSUPER★DRAGON最新ツアー、U-NEXTで東京公演を独占ライブ配信決定!EBiDAN所属の9人組ミクスチャーユニット「SUPER★DRAGON」(通称:スパドラ)の最新全国ツアー『SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2026「Studio」』の開催が決定した。これに伴い、動画配信サービスのU-NEXTは、4月19日に東京・Kanadevia Hallで行われる同ツアー第2部公演の模様を、独占ライブ配信することを発表した......
河口湖の宿泊施設で客室侵入トラブル 訪日旅行者が防犯の徹底を呼びかけ訪日旅行中の台湾人女性Dさん(仮名)が21日、山梨県・富士河口湖周辺の宿泊施設に滞在していた際、客室に見知らぬ人物が侵入するトラブルに遭遇した。日本は治安が良い旅行先として知られているが、Dさんは今回の経験を通じ、他の旅行者へ注意を呼びかけている。Dさんの説明によると、当日は富士山駅周辺でレンタカーを利用し、該当の温泉旅館にチェックイン。室内の施錠を確実に......
仮想通貨の闇とマウントゴックス事件の裏側、ジェイク・エーデルスタイン氏がFCCJで新著を語る日本外国特派員協会(FCCJ)にて3日、ジャーナリストのジェイク・エーデルスタイン氏が新著『The Devil Takes Bitcoin』の出版記念イベントに登壇した。エイミー・ヨシダ=プランベック氏の協力を得て最新情報にアップデートされた本作は、もともとフランス語で出版されていたが、トランプ前米政権下でのサイバー犯罪者への恩赦といった動向を受け、大幅に加......
山手線沿線に大規模コリビング第2弾「TOMORE田端」が竣工、3月20日より入居開始野村不動産株式会社は、山手線沿線の利便性の高い立地に、総戸数160戸の大規模コリビング賃貸レジデンス「TOMORE田端」が2026年3月12日に竣工したと発表した。本物件は同シリーズの第2弾として、希少な新築・大規模物件であることに加え、充実した共用部と専属スタッフによるコミュニティ運営を特色としており、3月20日より順次入居を開始する。2駅4路線利用可能、......
2025年世界の自由度、台湾は93点でアジア2位 首位はフィンランド「フリーダム・ハウス」(Freedom House)が公表した2025年版の最新報告によると、世界の自由度は20年連続で後退しており、現在「自由」な国に暮らす人は世界全体の約21%にとどまる。民主主義の先導役とみなされてきた米国の評価も過去最低を更新し、南アフリカと同水準に並んだ。一方、台湾は強いレジリエンスを示し、93点の高得点でアジア2位を維持した。わず......
防衛省、イージス・システム搭載艦1番艦の装備品試験、米で実施 SPY-7など標的探知に成功防衛省は2026年(令和8年)3月20日、イージス・システム搭載艦1番艦用の米国製装備品による標的探知試験を、米国東部標準時間の3月17日および19日に米国で実施したと発表した。イージス・システム搭載艦は2024年度(令和6年度)から建造が始まっており、2027年度末(令和9年度末)に1隻目、2028年度末(令和10年度末)に2隻目の就役を目指して整備が進め......
第6回防衛力変革推進本部開催 自衛隊を「世界一の無人機駆使組織」へ、小泉防衛相が表明2026年(令和8年)3月19日、第6回「防衛力変革推進本部」が開催され、小泉防衛大臣が「防衛力の変革の方向性」および「同志国との連携」について冒頭発言を行った。小泉氏は、自衛隊を「世界で最も隊員の命を大切にする組織」にすると宣言。その実現のため、自衛隊を「世界一無人アセットを駆使する組織」へと変革させる強力な方針を打ち出した。防衛力変革の5つの柱大臣は変......
中東情勢受けた邦人等輸送の待機任務が終結 空自KC-767が帰国防衛省は21日、中東地域の情勢悪化に備えた邦人等輸送の準備行為を終結させたと発表した。これに伴い、モルディブ共和国で待機態勢を維持していた航空自衛隊のKC-767空中給油・輸送機1機が、同日、日本に帰国した。今回の派遣は今月6日、外務大臣から防衛大臣に対して邦人輸送に向けた準備行為の依頼があったことを受けたものだ。防衛大臣は同日、統合作戦司令官に対し、自衛隊......
18年前の対話を再び!ポーランド元大統領ワレサ氏が林佳龍氏と再会 二人は何を語ったかポーランド元大統領ワレサ氏が訪台、台湾・林佳龍外相と「民主対話」──「台湾が中国統一を主導すべき」と共産主義に警鐘ポーランドの民主化運動「連帯」を率い、同国初の民選大統領を務めたレフ・ワレサ(Lech Wałęsa)氏がこのほど台湾を訪問した。台湾外交部(外務省に相当)と台湾アジア交流基金会が共催する「第9回玉山フォーラム」に出席し、午餐会で特別演説を行った......