【舞台裏】台湾・頼総統の原発再稼働表明に与党困惑 核心的価値の転換も「寝耳に水」、地方選への影響懸念
頼清徳総統は台電が3月末に原発再稼働計画を核安会に提出し、審査を申請すると発表。複数の民進党議員が『風傳媒』の取材に対し、事前に知らされていなかったと明かした。(資料写真/劉偉宏撮影)
台湾の頼清徳・総統が21日、第2、第3原子力発電所は再稼働可能な条件を備えていると突如表明し、政界に大きな衝撃が走った。民進党の立法委員(国会議員)は事前にこの重大なエネルギー政策の転換を知らされていなかったもようで、複数の同党立法委員が『風傳媒』の取材に対し、行政院(内閣)側から事前説明や調整は一切なく、外部への説明用の資料も提供されなかったと匿名で明かした。彼らは一様に困惑を隠せない様子だ。
頼総統「依法行政」を強調、3月末にも審査申請へ
頼総統は21日、立法院(国会)で「核子反応器施設管制法(原発管制法)」の改正案が可決されたことを受け、政府の法に基づく行政執行のため、経済部が慎重に評価した結果、第2、第3原発が再稼働の条件を満たすと台湾電力(台電)に回答したと説明。その上で、台電は既に再稼働手続きに着手している、3月末までに再稼働計画を原子力安全委員会(核安会)に提出して、審議を仰ぐ予定だという。
「脱原発」は民進党が長年掲げてきた核心的価値に直接関わるものであり、頼総統の発表直後、多くの所属議員は沈黙を守り、即座にコメントを出した者はほとんどいなかった。
党内から上がる悲鳴「何も聞いていない」
頼総統による原発再稼働の容認発言に対し、多くの民進党立法委員が最初に示した反応は驚きだった。複数の委員が匿名で、「事前通知や噂すら全くなかった」と語った。また別の立法委員は、反原発は民進党が長年堅持してきた立場であり核心的価値でもあると指摘した上で、政策が突然大きく転換したにもかかわらず、基本的な党内調整すら行われなかったと批判。情報が公になった後も、夕方まで関連部門からの党内に向けて正式な説明はなかったという。
地方選への打撃と「安全」を求める地元
この唐突な決断は、党内の混乱に留まらず、地方選の情勢にも直撃する恐れがある。党内関係者は、第2原発がある新北市や、第3原発がある屏東県の選況に悪影響を及ぼすと指摘。次期新北市長選の有力候補と目される蘇巧慧(スー・チャオフェイ)氏などは、有権者への説明に苦慮することになるとみられる。
一方、屏東県の周春米(ジョウ・チュンミー)県長はメディアの取材に対し、法改正に伴い台電が規定に基づき検査・申請を行うという法的プロセスを強調した上で、地方自治体としては「安全、安全、そして安全」が最優先であると訴えた。また、頼総統が言及した核廃棄物の処理問題についても、十分な情報に基づいた判断が必要だとの認識を示した。
背景:2025年の法改正が転換点に
立法院は2025年、原発の運転期間を最長20年延長することを認める「原発管制法」第6条の改正案を可決した。これを受け台電は、設備、人員配置、燃料の乾式貯蔵、同型機の稼働状況、地質的な耐震性、安全検査の準備状況、給電効率の7項目にわたる現況評価を実施。その結果、第2・第3原発については再稼働の実現可能性があると判断され、経済部もこの報告を承認した。
行政院「第一原発は再稼働不可」
行政院の李慧芝(リー・フイジー)報道官は、第1原発については設備の撤去が進んでいることなどから再稼働の可能性はないが、第2・第3原発については可能であるとの見解を示した。
- 第3原発: 3月末までに再稼働計画を提出。安全検査の完了と運転免許の取得を経て始動する。
- 第2原発:乾式貯蔵施設の完成と使用済み燃料の移出が条件となる。
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