【舞台裏】食品安全問題で存在感増す蔣万安、国民党の勢力図に変化 盧秀燕・鄭麗文と2028年総統選の行方

7月25日にケタガラン大道で行われた毒油問題への抗議集会を主導した蔣万安台北市長(中央)。政治的な存在感を高め、国民党陣営の中心人物になりつつあるとの見方が出ている。(資料写真/蔡親傑撮影)
7月25日にケタガラン大道で行われた毒油問題への抗議集会を主導した蔣万安台北市長(中央)。政治的な存在感を高め、国民党陣営の中心人物になりつつあるとの見方が出ている。(資料写真/蔡親傑撮影)

中聯油脂をめぐる発がん性物質を含む油の問題は、6月末の発覚から約1カ月が経過した現在も、原因の全容解明には至っていない。国民の不満が高まるなか、国民党は蔣万安(しょう・ばんあん)台北市長の呼びかけに応じ、同党系の県・市長や台湾民衆党とともに、7月25日に総統府前のケタガラン大道で「我是人、我反毒台(私は人間だ、毒台に反対する)」と銘打った抗議集会を開催。頼清徳(らい・せいとく)政権に対応を求めた。

集会の開催決定から当日までの期間は短かったものの、国民党中央、立法院党団、地方首長、地方議員までが一斉に動員に乗り出した。鄭麗文(てい・れいぶん)氏の党主席就任後、国民党がこれほど足並みをそろえたのは珍しい。

一方、表面的な結束の裏では、中聯油脂をめぐる一連の問題が、国民党内の権力バランスにも微妙な変化をもたらしている。

問題が起きる以前、国民党には絶対的な指導者が存在しなかった。党内では、鄭麗文党主席、蔣万安台北市長、盧秀燕台中市長、韓国瑜立法院長の4人が「4つの太陽」と呼ばれ、それぞれ役職や政治的知名度、党内での人気を背景に影響力を持っていた。

しかし、重要な課題で最終的な方向性を決められる人物はおらず、親米派と親中派の対立も続いていたため、国民党内では半年以上にわたり混乱が収まらない状態が続いていた。

今回の抗議活動は、こうした4人の均衡を図らずも崩すことになった。国会議長として比較的中立的な立場を保つ必要がある韓氏を除き、蔣氏、盧氏、鄭氏の党内での立場には変化が生じている。

20260722-総統府前のケタガラン大道で食の安全を求めハンガーストライキを行う藍陣営の若者たち。すでに72時間が経過した。(顔麟宇撮影)
中聯油脂をめぐる発がん性物質を含む油の問題が発覚してから約1カ月。蔣万安台北市長の呼びかけを受け、国民党は7月25日、ケタガラン大道で「我是人、我反毒台」と銘打った集会を開き、頼清徳政権に抗議した。(資料写真/顔麟宇撮影)

食品安全問題で前面に立つ蔣万安氏 政治的存在感高まる

中聯油脂問題をめぐり、中央政府や民進党との対決の前面に立ったのが蔣氏だ。その対応は迅速かつ強硬で、狙いが明確だったと党内では受け止められている。

台湾の衛生福利部は7月6日、問題の油の使用割合が20%以下の加工食品について、店頭撤去の対象外とする方針を発表した。これに対し蔣氏は、使用割合にかかわらず、すべての商品を予防的に店頭から撤去する方針を即座に決定。中央政府の基準とは異なる対応を取り、その後、台湾各地の県・市も台北市に追随した。

蔣氏は17日、中央政府の食品安全対策について「傲慢で、情報を隠している」と批判。「頼総統の謝罪」と「卓栄泰(たく・えいたい)行政院長の辞任」を求め、25日にケタガラン大道で抗議の声を上げるよう市民に呼びかけた。

さらに自ら立法院の国民党、民衆党両党団を訪問し、民衆党の黄国昌(こう・こくしょう)主席や鄭氏と面会して支持を取り付けた。これにより、食用油をめぐる問題は食品安全対策の議論から、政権の政治責任を問う段階へと引き上げられた。

蔣氏が台北市長の枠を超え、国政をめぐる攻防を主導したのは今回が初めてではない。 (関連記事: 台湾の食用油問題、対象製品401品目に拡大 即席麺や冷凍食品、外食チェーンにも影響 関連記事をもっと読む

頼総統が先に監察委員の候補者を発表し、謝政達(しゃ・せいたつ)前新北市副市長や廖婉汝(りょう・えんじょ)元立法委員ら国民党系の人物が含まれていた際、党中央や立法院党団は当初、対応方針を示していなかった。

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