森ビルは、安全・安心な都市づくりに関する説明会および「麻布台ヒルズ」の震災対策見学ツアーを実施し、ハード・ソフト両面における先進的な防災・減災の取り組みを公開した。
同社は1995年の阪神・淡路大震災を契機に「逃げ出す街から逃げ込める街へ」というコンセプトを掲げており、大規模都市再開発を通じて災害に強い街づくりを進めるとともに、周辺地域にも貢献する防災拠点の形成を目指している。
麻布台ヒルズ、建物とインフラの両面で防災力を強化
2023年11月に開業した麻布台ヒルズは、区域面積約8.1ヘクタール、延床面積約86万1700平方メートル、総事業費約6400億円の大規模複合都市である。
就業者数約2万人、居住者数約3500人、年間来街者数約3000万人を見込む同街区では、これまでの再開発で培った防災ノウハウを結集し、街全体で最高レベルの耐震性能と自立型インフラを構築している。
ハード面では、街区全体に各種制振装置を積極的に配置した。高さ約330メートル、地上64階地下5階の「森JPタワー」には、座屈拘束ブレース1200基、オイルダンパー304基、粘性体制震壁302基、アクティブマスダンパー(AMD)4基を導入。
高さ約235メートルの「レジデンスB」にも粘性体制震壁220基やオイルダンパー172基などを備えるほか、低層部の「ガーデンプラザ」にもブレーキダンパーを設置した。
さらに、地震直後に建物の健全性や損傷度をリアルタイムで把握できる「地震直後建物被災度推測システム(e-Daps)」を導入し、大地震後も継続して使用できる耐震性能とモニタリング体制を整えている。
エネルギーインフラにおいては、森JPタワー地下5階のエネルギープラントに総合効率81.2%を誇る大型ガスコージェネレーションシステム(CGS、5200kW×2台)を配備した。
平常時は商用電力とCGS発電電力を組み合わせて供給し、電力は全てRE100に対応する実質再生可能エネルギーを使用する。商用電力が途絶した際にも、CGSと非常用発電機を連携させることで街区全体へ100%の電力供給能力を確保し、停電時でも通常通りの都市機能を維持する。
また、容量1万200立方メートル(25メートルプール約20杯分)の大規模温度成層型水蓄熱槽を備え、空調用の熱供給を行うほか、長期断水時には防災用井戸水や蓄熱槽の水を活用し、CGSの運転継続や生活用水への供給を可能にしている。
約300人の防災要員を配置、災害時の初動体制を強化
ソフト面では、東京都23区で震度6弱以上の地震が発生した際、社長を本部長とする震災対策本部へ全社員が自動移行する初動体制を整備している。
事業エリアの4極3.5キロ圏内には約300名の防災要員を確保し、夜間や休日の発災にも迅速に対応できる態勢を整える。年間の防災訓練としては、全社員を対象とした総合震災訓練(9月1日および1月17日実施)をはじめ、社宅部訓練や安否確認訓練を定期的に実施している。
さらに行政との連携による帰宅困難者対策も強化しており、森ビルの大規模施設全体で約1万4000人(麻布台ヒルズ3600人、六本木ヒルズ5000人、虎ノ門ヒルズ5200人、表参道ヒルズ187人)の受け入れ体制を構築した。
各施設には水やアルファ化米など計36万食の非常食を備蓄しており、帰宅困難者に対して1人あたり1日3食、3日分の食料を確保している。
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編集:小田菜々香













































