海外の空港に降り立った瞬間、その土地に来たことを何によって実感するだろうか。目に入る文字や人々の話し声、気温や湿度など、きっかけは人によって異なる。
筆者が初めて台北松山空港に降り立った際、最初に印象に残ったのは、空港内に漂う独特の香りだった。
不快なにおいというわけではない。ただ、日本ではあまりなじみのない香りで、何に由来するのかすぐには分からなかった。
空港に漂っていた独特の香り
空港内のコンビニに入ると、レジの近くで「茶葉蛋」が販売されていた。
茶葉蛋は、殻にひびを入れたゆで卵を、茶葉やしょうゆ、八角などと一緒に煮込んだ台湾の定番食品だ。台湾のコンビニでは、鍋に入れた茶葉蛋がレジ付近で販売され、煮込んだ香りが店内に広がっていることも珍しくない。
その際、空港で感じた香りの一部は、茶葉蛋に使われる八角などの香辛料によるものかもしれないと思った。
八角は台湾の煮込み料理に広く使われている。一方、日本の一般的な家庭料理では、日常的に使われる機会がそれほど多くない。そのため、八角の香りを嗅いだ瞬間に「台湾に来た」と実感する日本人もいるのではないだろうか。
八角だけではない「台湾のにおい」
もっとも、台湾で感じる独特のにおいを、茶葉蛋や八角だけで説明することはできない。
街を歩けば、魯肉飯や牛肉麺などの煮込み料理、夜市の揚げ物、漢方薬店、寺廟の線香など、さまざまな香りに出会う。
高い湿度や交通量の多い街の空気、建物内の空調なども、台湾で感じる空気の印象に影響しているのかもしれない。
こうした複数の香りが重なり、外国から訪れた人の記憶の中で、ひとまとまりの「台湾のにおい」になっているのだろう。
筆者が台湾旅行の経験者にこの話をすると、街中や空港、コンビニで感じた八角の香りを思い出すという人もいれば、夜市の香りによって台湾に来たことを実感したという人もいる。
一方で、台湾のにおいとして茶葉蛋や魯肉飯を挙げる人もいれば、臭豆腐、線香、湿気のにおいを思い浮かべる人もいる。何を「台湾らしい」と感じるかは、それぞれの旅行経験や記憶によって異なる。
地元で暮らす人ほど気づきにくい
台湾で暮らす人にとって、茶葉蛋や八角、線香などの香りは日常生活の一部だ。
普段から接しているため、外国人が感じるような「台湾らしいにおい」として意識する機会は少ないかもしれない。
これは、長く暮らしている自宅のにおいに、本人が気づきにくいことと似ている。初めて訪れた人には分かっても、そこで日常を送る人には特別なものとして感じられない。
反対に、日本を訪れた台湾人の中には、「空港に着くと日本のにおいがする」と話す人もいる。 (関連記事: 出発前から旅気分!台湾・桃園空港「無料で楽しめる9スポット」が充実すぎると話題に | 関連記事をもっと読む )
日本人にとって、空港や駅、商業施設に漂う香りは、普段ほとんど意識しないものだ。しかし、海外から来た人には、空調や清掃用品、洗剤、化粧品、飲食店から漂うだしの香りなどが混ざり合い、「日本らしいにおい」として感じられることがあるようだ。


















































