台湾の命運分けたTSMC3ナノ残留、元科技相が明かす17年の極秘会談

2026-04-19 09:00
台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀氏が董事長在任中に下した最後の重要な決定が、2017年の3ナノ新工場の台湾残留であった。画像は2017年9月、中国・南京の第16工場における製造装置搬入式に出席した同氏。(写真/TSMC提供)
台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀氏が董事長在任中に下した最後の重要な決定が、2017年の3ナノ新工場の台湾残留であった。画像は2017年9月、中国・南京の第16工場における製造装置搬入式に出席した同氏。(写真/TSMC提供)

台湾の前科技部長・陳良基氏は、2017年2月に同職を引き受けた最大の理由が、台湾積体電路製造(TSMC)の当時の会長・張忠謀(モリス・チャン)氏と直接交渉し、新設予定だった3ナノメートル(nm)製造拠点を海外ではなく台湾国内に留めるためだったことを明らかにした。

それから9年後の今日、3ナノプロセスはすでにTSMCの売上高の25%を占めるまでに成長した。さらに、現在の会長である魏哲家(シーシー・ウェイ)氏によれば、深刻な供給不足を受けて3ナノの生産能力を拡大させる方針であり、来年から再来年にかけて、台湾の台南科学園区、米アリゾナ州、そして日本の熊本県で新たな生産ラインが順次稼働する予定だ。

陳氏はまた、世界的なAI(人工知能)ブームが台湾に千載一遇の好機をもたらしていると指摘する。AIモデルの継続的な進化は台湾にとって朗報である一方、「小さなビジネスチャンスだからといって軽視してはならない」と述べ、特定用途に特化したAIのニッチ市場を見過ごさないよう国内企業に警鐘を鳴らした。

陳良基氏 張忠謀氏に直談判し、3ナノ工場のインフラ整備を約束

現在、国立台湾大学電機工学部の特任教授を務める陳氏は、13日(月)に台湾玉山科技協会と李国鼎科技発展基金会が共催した「2026国鼎AI半導体イノベーションフォーラム」に登壇。「AIの拡大に直面する台湾テクノロジー産業の将来の発展戦略」と題し、約30分間の講演を行った。

1980年代からのテクノロジー産業の発展の歩みを振り返る中で、陳氏は「台湾は一本足ではなく、常に二本足で走り続けてきた幸運な存在だ」と語った。

台湾の半導体産業は、事実上PC(パソコン)産業と共に発展してきた。当時、台湾はPCを製造していたため、製造した半導体には確実な需要があり、自ら顧客を探す必要がなかった。「顧客はすぐそばにいた。台湾のPCメーカーが競争力を高めて海外市場を開拓し、その恩恵が半導体産業に還元され、さらなる成長を後押しした」と指摘。さらに、「台湾は常に産業の強力な垂直分業を構築してきた。たった一枚の小さなマザーボードが、台湾国内の300から400もの企業を養ってきたのだ」と強調した。

前科技部長・陳良基氏が13日、「2026国鼎AI半導体イノベーションフォーラム」で講演。(劉煥彦撮影)
前科技部長・陳良基氏が13日、「2026国鼎AI半導体イノベーションフォーラム」で講演を行った。(写真/劉煥彦撮影)

陳氏はまた、2017年の時点で既にAIの波が到来することを予見していたと言及。AIは半導体なしでは実現不可能な技術であり、台湾のテクノロジー産業はこの大波を迎え撃つ準備を整える必要があったと語る。

同氏の回想によれば、2017年当時、張氏は次に新設する3ナノ製造拠点を直接海外に建設する意向を持っていた。「私は当時、張氏に面会し、台湾国内に3ナノ工場を建設するための用地やインフラを完璧に整備すると約束し、台湾に留まるよう説得した。あの時、彼は既に3ナノを海外へ移転させる準備を進めていたのだ」と振り返る。 (関連記事: 【台湾の謎の軍需メーカー1】TSMC隣の電子戦中核工場を初公開 軍用規格の生産現場に迫る 関連記事をもっと読む

「私が科技部に赴任した使命は、まさにこの火消し役を務めることだった。私は張氏に対し、『AI時代はすでに到来しており、AIには間違いなく3ナノ以下の技術が必要になる。もしこの波に乗り遅れれば、3ナノのビジネスチャンスは他国に奪われてしまう』と訴えかけた」

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