TSMC 3ナノはなぜ台湾に残ったのか 前科技部長が明かす2017年の極秘会談

2026-04-20 10:03
台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀氏が董事長在任中に下した最後の重要な決定が、2017年の3ナノ新工場の台湾残留であった。画像は2017年9月、中国・南京の第16工場における製造装置搬入式に出席した同氏。(写真/TSMC提供)
台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀氏が董事長在任中に下した最後の重要な決定が、2017年の3ナノ新工場の台湾残留であった。画像は2017年9月、中国・南京の第16工場における製造装置搬入式に出席した同氏。(写真/TSMC提供)

台湾の前科技部長・陳良基氏は、2017年に台湾積体電路製造(TSMC)が検討していた3ナノメートル(nm)新工場の海外移転をめぐり、当時の会長・張忠謀(モリス・チャン)氏と直接協議し、台湾に拠点を残すよう働きかけていたことを明らかにした。現在、3ナノはTSMC売上高の25%を占める主力技術に成長しており、結果的に台湾の半導体産業にとって大きな転機となった形だ。

それから9年後の現在、3ナノはすでにTSMCの売上高の4分の1を占めている。現会長の魏哲家(C.C. Wei)氏も、需給の逼迫を受けて3ナノの生産能力を拡大する方針を示しており、今後2年間で台湾・台南サイエンスパーク、米アリゾナ州、日本・熊本で新たな生産ラインが順次立ち上がる見通しだ。

陳氏はまた、世界的なAIブームが台湾に大きな機会をもたらしていると指摘した。その一方で、「規模が小さいからといって見過ごしてはならない」として、特定用途向けのAIニッチ市場にも目を向けるべきだと訴えた。

陳良基氏「3ナノを台湾に残すため張忠謀氏に会った」

​現在、国立台湾大学電機工学科の特別招聘教授を務める陳氏は、13日に玉山科技協会と李国鼎科技発展基金会が共催した「2026国鼎AI半導体イノベーションフォーラム」に登壇し、「AI拡大に直面する台湾テクノロジー産業の将来戦略」をテーマに講演した。

1980年代以降の台湾テクノロジー産業の歩みを振り返る中で、陳氏は「台湾は一本足ではなく、常に二本足で走り続けてきた幸運な存在だ」と語った。半導体産業はPC産業と並走する形で発展し、PCメーカーの成長が半導体需要を支え、半導体産業の発展がさらにPC産業を押し上げるという構図があったという。

陳氏は「台湾は強い垂直分業構造を築いてきた。小さなマザーボード1枚でも、台湾では300~400社を支える産業エコシステムを形成していた」と説明した。

前科技部長・陳良基氏が13日、「2026国鼎AI半導体イノベーションフォーラム」で講演。(劉煥彦撮影)
前科技部長・陳良基氏が13日、「2026国鼎AI半導体イノベーションフォーラム」で講演を行った。(写真/劉煥彦撮影)

さらに、2017年の時点でAIの波が必ず来ると見通していたとも明かした。AIは半導体なしには成り立たず、台湾のテクノロジー産業はその波に備える必要があったという。

陳氏によると、2017年当時、張氏は次の3ナノ新工場を海外に建設する方向で考えていたという。これに対し陳氏は「私は張氏に会い、台湾で3ナノ工場を建設するための用地やインフラを整えると伝え、台湾に残すよう説得した。当時、3ナノはすでに海外移転の方向に傾きつつあった」と振り返った。

また、「私が科技部長を引き受けた最大の理由は、まさにこの課題に対応するためだった。私は張氏に対し、AI時代の到来を見据えれば、3ナノ以下の技術は不可欠になる。この流れに乗り遅れれば、3ナノの商機は他国に奪われると訴えた」とも語った。 (関連記事: TSMC、3ナノを日米台で増産へ 次世代A14は28年量産 関連記事をもっと読む

2017年当時、TSMCは海外建設を否定せず

台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』が2017年初頭に報じたところによると、2016年11月にトランプ氏が米大統領選で勝利した後、国際社会では「製造業の米国回帰」が現実化するのではないかとの懸念が広がっていた。

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