豪海軍、次期護衛艦に「もがみ型」選定へ 100億ドルで11隻調達、3隻は日本建造

豪州の次期主力艦に選定された海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦(写真/AP通信提供)
豪州の次期主力艦に選定された海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦(写真/AP通信提供)

オーストラリア海軍は、次期護衛艦として三菱重工業の「もがみ型」護衛艦を選定した。オーストラリアのリチャード・マールズ国防相と日本の小泉進次郎防衛相は、今月18日にメルボルンで会談し、総額100億米ドル(約1兆5000億円)規模の調達契約に正式署名する見通しだ。オーストラリア側は11隻を導入し、新たな海上防衛力の中核とする方針である。

豪紙『オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー』は、今回の契約が豪日間の防衛協力を大きく前進させるだけでなく、第二次世界大戦後の日本にとって最大級の防衛装備輸出になると報じている。オーストラリア政府は、中国がインド太平洋地域で軍備拡張を続ける中、長年にわたる検討を経て、現役のアンザック級フリゲートの後継艦として、5000トン級のもがみ型を選定した。海軍の打撃力強化を狙う。

両国の合意では、最初の3隻を日本の長崎で建造し、1番艦は2029年にオーストラリア海軍へ引き渡される予定だ。残る8隻は、西オーストラリア州ヘンダーソンの防衛産業拠点で建造される計画で、オーストラリアは艦艇の維持整備や運用に必要な自立的能力の確保を目指す。

豪海軍の現役アンザック級フリゲート「バララット」と上空を飛行するF-35A戦闘機。(豪海軍提供)
豪海軍の現役アンザック級フリゲート「バララット」と上空を飛行するF-35A戦闘機。(写真/豪海軍提供)

豪州の戦略転換と日本の防衛輸出拡大

​今回の調達決定の背景には、地政学的な変化がある。トランプ米政権が同盟国に対し防衛面での自立を強く求める中、オーストラリアは従来の陸上戦力中心から、海上戦力の強化へと軸足を移しつつある。

一方、日本では高市早苗首相が憲法改正に改めて意欲を示し、自衛隊の位置付けの明記や、戦後憲法下の制約の見直しを打ち出している。今回の100億ドル規模の護衛艦受注は、日本の防衛装備輸出にとって大きな節目となる可能性がある。

オーストラリアの次期艦艇選定では、もがみ型のほか、ドイツのティッセンクルップが開発したMEKO A-200型フリゲートも最終候補に残っていた。MEKO A-200は輸出向けに開発された艦で、現在はトルコ、ギリシャ、エジプトなどで運用されている。

海上自衛隊のもがみ型護衛艦。(張曜麟撮影)
海上自衛隊のもがみ型護衛艦。(写真/張曜麟撮影)

もがみ型とは何か

​もがみ型護衛艦は三菱重工が開発・建造する艦で、米海軍の沿海域戦闘艦(LCS)を参考に設計された。当初は22隻体制が想定されていたが、コスト増を受けて建造計画は12隻に縮小され、現時点で9隻が完成している。

満載排水量は5500トン、全長は130メートル、最高速度は30ノット。乗員は最大90人とされる。艦尾にはSH-60K対潜ヘリコプター1機を搭載できるほか、62口径5インチ砲、Mk41垂直発射システム(VLS)、対艦・対空ミサイルなどを装備する。

最新艦の「ゆうべつ」はすでに進水しており、現在は海上公試の段階にある。早ければ2026年に就役する見通しだ。

アンザック級退役後の空白を埋める狙い

​オーストラリア国立大学(ANU)国家安全保障カレッジのジェニファー・パーカー氏は、現在のオーストラリア海軍について、第二次世界大戦以降で「最も脆弱な時期」にあると分析している。通常任務に就ける現役フリゲートは10隻にとどまっているという。

もがみ型の導入により、新たにVLSを備え、少なくとも1万海里の航続距離を持つ艦艇が加わることで、旧型アンザック級の退役に伴う戦力の空白を大きく埋めることが期待されている。

海上自衛隊で運用されているもがみ型護衛艦の性能紹介。(防衛装備庁の資料より引用)
海上自衛隊で運用されているもがみ型護衛艦の性能紹介。(写真/防衛装備庁の資料提供)

オーストラリア政府は今回の護衛艦調達に加え、今後10年間で530億米ドル(約8.4兆円)の国防費を追加投入する方針も打ち出している。今後、日豪間でさらなる防衛装備調達や協力案件が進む可能性もあり、両国関係は一段と緊密化する見通しだ。

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