台北の高級住宅地・天母にMRT延伸計画が再浮上 不動産価格と商圏再生に期待

天母MRT建設計画が再始動。台北市政府が7月に評価報告書を提出へ。(顔麟宇撮影)
天母MRT建設計画が再始動。台北市政府が7月に評価報告書を提出へ。(顔麟宇撮影)

長らく軌道交通網から排除されてきた台北市士林区の天母地区が大きな転換期を迎えそうだ。台北市政府はこのほど、長年凍結されていた天母へのMRT(都市交通システム)延伸計画を再始動すると正式に発表した。7月にも関連する評価報告書の提出を受け、審査を進める予定だ。

発表を受け、地元の不動産市場や商圏でさっそく議論が起きている。不動産の専門家は、MRT建設計画が正式に決定すれば、天母東路と天母西路、忠誠路2段など中心的なエリアの不動産価格が押し上げられるだけでなく、近年、空き店舗問題に直面している天母円環(ロータリー)商圏の再興に道を開く可能性があると指摘している。

数十年前は「高架が街並みと緑を破壊」と反発

天母地区におけるMRT誘致の歴史を振り返ると、数十年前にも同様の計画が存在していた。台湾メディア「中時新聞網」の報道によると、台湾の不動産仲介大手、信義房屋の天母忠誠店でプロジェクトマネージャーを務める游雅嵐氏は、当時政府が忠誠路と徳行東路の交差点周辺を走る路線を計画したものの、高架方式を採用したことで地域住民からの猛反発を招いたと明かした。游氏によると、古くからの住民の多くが横断幕を掲げてデモを行い、高架構造が忠誠路を象徴する整然とした街並みや豊かな緑を破壊することが危惧されたという。結局、当時は住民側の強い反対により計画は立ち消えとなった。

時代の変遷とともにMRT構想が再び持ち上がる中、地元の民意も変化を見せている。一部の古くからの住民は依然として慎重な姿勢を崩していない。天母の住民は日常的に自動車を利用しており、現在の成熟した生活機能で十分に事足りると考えているためだ。むしろ、10年にも及ぶ長期間の工事による深刻な交通渋滞が、沿線の店舗の営業や元来の静寂な住環境に打撃を与えると懸念している。一方、地元第2世代や若年層の間では、MRTに対する受容度が大幅に高まっている。游氏の観察によれば、近年、中流家庭の若年層は自家用車を所有していても、居住地を選ぶ際に交通の便が良く、MRTの恩恵を受けられるエリアを好む傾向がある。特に中高生の通学が必要な家庭において、軌道交通への依存度は顕著に高まっている。 (関連記事: 台湾北部に新たなMRT路線、三鶯線が開業目前 鶯歌老街・三峡・台北大学へのアクセス向上へ 関連記事をもっと読む

芝山駅の開業で勢力図に変化

MRT建設計画の再始動は、近年衰退傾向にある天母円環商圏にとって起爆剤と見なされている。かつて天母商圏の中心は中山北路7段のロータリー周辺にあり、当時アイスクリームショップの「スウェンセンズ」やハンバーガーショップの「ウェンディーズ」といった代表的な外資系飲食チェーンがこのエリアに進出するなど、商業活動が非常に活発だった。しかし、台北MRT(台北メトロ)淡水信義線・芝山駅の開業にともない、天母全体の商業の重心は急速に同駅周辺へと移行。その結果、円環商圏はにぎやかさを失い、天母西路や中山北路7段一帯では、数年間にわたり空き店舗が放置される状況が続いている。

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