「遺言無視」と「資産の不正処分」で兄と元幹部5人を刑事告訴、海運・航空業界に衝撃
台湾の海運大手、長栄グループの創業者張栄発氏の遺産相続問題が、思わぬ方向へと急展開した。約140億台湾ドル(約6,200億円)の遺産を単独で相続することが認められた次男で星宇航空会長の張国煒氏が、18日、兄の張国華氏と長栄グループの元幹部4名を背任の疑いで告訴。8年に及んだ法廷闘争は新たな局面を迎えた。
「勝訴後の衝撃告発」8年越し遺産争いに急転直下の展開
張栄発氏は2016年に他界。生前に作成した「密封遺言」で、遺産のすべてを次男の張国煒氏に相続させ、同氏を総裁に任命する意向を示していた。これに不満を持った長男の張国政氏が遺言の無効を訴え、8年間に及ぶ法廷闘争となっていた。
最高裁が今年、張国政氏の上告を棄却し、張国煒氏の相続が確定。これにより、長年の争いに終止符が打たれたかに見えた。
「兄による裏切り」星宇航空会長が告発する衝撃の内幕
ところが、星宇航空の会長でもある張国煒氏は予想外の行動に出た。兄の張国華氏と長栄グループの元幹部4名を、台北地方検察庁に告訴したのだ。
張国煒氏の弁護士、林文鵬氏は「4名の遺言執行人と張国華氏は、張栄発氏の遺言が長栄グループの経営権を張国煒氏に委ねるものだと承知していながら、2016年3月24日の遺言執行人会議で張国華氏を長栄グループの主要持株会社であるパナマ長栄国際の常任取締役および常任総裁に選任した」と指摘した。
「6200億円の行方は?」資産の不正処分疑惑が浮上
林弁護士はさらに、「この行為により、張国華氏が違法に長栄グループの資産を処分し、現在まで支配している」と主張。これらの行為が刑法の背任罪に該当するとして、告訴に踏み切ったという。
加えて、4名の遺言執行人が職務を積極的に遂行せず、遺言の執行が進んでいないとして、台北地方裁判所に4名の解任と新たな遺言執行人の指定も申し立てた。 編集:高畷祐子
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