台湾人監督として唯一、カンヌ国際広告賞の金獅子賞を受賞し、台湾CM界のレジェンドとして知られるワン・チャイシアン(王財祥)監督による唯一の長編映画『逃亡者狂騒曲 デジタル・リマスター版』が、2026年10月10日から東京・渋谷のユーロスペースを皮切りに、全国で順次劇場公開されることが決定した。
あわせて、メインビジュアルと予告編映像、各界の著名人から寄せられた推薦コメントも解禁された。
1997年ベルリン国際映画祭出品 「幻の台湾映画」が20年以上を経て劇場公開
本作は、1987年の戒厳令解除後に訪れた急速な経済成長と揺れ動く政治状況の中で、世紀末の台湾が抱える不安や焦燥を鮮烈な映像美で捉えた作品だ。
1997年にベルリン国際映画祭フォーラム部門へ出品され、実験的な映像表現と大胆な映像言語によって、「台湾ニューシネマ」とは一線を画す1990年代台湾映画の新たな可能性を世界に示した。
しかし、台湾本国での劇場公開はわずか数日で打ち切られ、その後長らく「忘れ去られた映画史の伝説」として語り継がれてきた。今回、20年以上の歳月を経て、デジタル・リマスター版として世界初の劇場公開が実現する。
『逃亡者狂騒曲』予告編解禁 1990年代台北の熱気を鮮烈に描く
解禁された予告編には、ロケット花火が飛び交う中、夜の高速道路を疾走する光景や、台湾を代表するロックバンド・濁水溪公社のライブシーンなどが、圧倒的な熱量とともに収められている。
また、メインビジュアルには、立ち込める炎の中、殺し屋に追われる主人公たちの緊迫した疾走感が描かれている。
殺人事件を偶然撮影した青年 混沌とする台北を舞台に逃亡劇
物語は、ニューヨークに憧れを抱きながら、夜はナイトクラブで働き、昼は恋人と過ごす青年が、祭りの夜に偶然殺人事件をビデオカメラで撮影してしまったことから、謎の殺し屋に追われる逃亡劇だ。
混沌とした台北の街をさまよう中で現実と白昼夢の境界が曖昧になり、夢の地だったニューヨークからは疫病の知らせが届く。世紀末の都市の情景と欲望が寓話的に描き出される。
伊藤亜和、宇野維正、佐野史郎らが推薦コメント
公開に先立ち、文筆家の伊藤亜和氏、映画ジャーナリストの宇野維正氏、ドラァグクイーン・美術家のヴィヴィアン佐藤氏、振付家・ダンサーの黒田育世氏、俳優の佐野史郎氏、アーバンギャルドの松永天馬氏から推薦コメントが寄せられた。
宇野氏は「ワン・チャイシアン監督が捉えた約30年前の台北の情景は、この世界への無力感とやり場のない怒りに満ちていて、同時代に活動していた他の台湾の映画作家のいずれとも違う。当時よりもむしろ2026年の現在、本作の切実さに共鳴する観客は多いのではないか」と語った。
佐野氏は「まるで肌をサンドペーパーで撫でられるような映像、音楽、言葉…物語を追うより先に否応なく体が反応してしまい、1990年代の台湾に放り込まれる」と作品の衝撃を評している。
主演はチェン・ホンレン、音響はドゥ・ドゥーチー 10月10日から全国順次公開
本作の主演は、1990年代に舞踏団「無垢舞蹈劇場」の主要ダンサーとして世界的に活躍したチェン・ホンレン(陳偉任)が務め、音響を台湾映画界の巨匠ドゥ・ドゥーチー(杜篤之)が担当している。
配給はCinema Driftersが手がけ、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターが協力を務める。
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編集:梅木奈実

















































