中国、AI人材の海外渡航規制を家族にも拡大 配偶者・子どもの出国も事前承認制に

中国は最近、トップレベルのAI人材に対する出国規制をさらに強化。規制の対象を本人だけでなく、配偶者や子供といった直系親族にまで拡大した。(AP通信)
中国は最近、トップレベルのAI人材に対する出国規制をさらに強化。規制の対象を本人だけでなく、配偶者や子供といった直系親族にまで拡大した。(AP通信)

中国は近年、最先端の人工知能(AI)技術を有する人材への出国規制を一段と強化している。対象範囲は本人だけでなく、著名なスタートアップ企業の創業者や中核企業の責任者といった重要人物の配偶者や子供といった直系親族にまで拡大され、短期の出国であっても、事前に当局の許可を得ることが義務付けられている。その目的は明確で、中核技術の知識や機密情報が米国に流出するのを防ぐことにある。

現時点で、この出国規制の具体的な実施内容は明らかになっていない。しかし、米中首脳会談の後に同措置の拡大が打ち出されたこともあり、中国のSNS上では大きな議論を呼んでいる。中国のテクノロジー業界の一部では、これは米国の「人材争奪」政策に対抗するための措置だと受け止められている。

​技術者の「心」を国内に留め置くための措置​

関係者によると、中国政府の関連部門はすでに一部の対象者への通知を開始しており、AI人材の出国制限リストを段階的に拡大する方針だ。米ブルームバーグは今年5月の時点で、中国がアリババグループやディープシーク(DeepSeek)といった民間企業の高度AI人材に対し、出国制限を科していると報じていた。今回、その規制の対象に家族が組み込まれたことは、中国政府が技術流出を防ぐための防衛線を「個人」から「家族」へと広げたことを示している。

取材に応じた一部の中国人専門家は、当局がこうした措置を講じるのは、中核技術者の「心」を国内に留め置くためだと指摘している。国境を越えた人材流出において最大の障壁となるのが家族の存在であり、これは中国が他の分野の人員を管理する際にも常套手段として用いてきた方法だ。

今回の規制強化は、中国で9月15日に正式に施行された、「出入国管理に関する規定(国務院規定)」の動きと軌を一にしている。新規定では、中国公民が輸出入規制や技術の輸出入管理に関する規定に違反し、国家の産業の安全や技術の安全を脅かす可能性がある場合、関連部門が当該人物の出国を不許可にできると明記されている。また、国外で国家の安全や利益を害する活動に従事した場合、帰国後に半年から3年間の出国禁止処罰を受ける可能性がある。この法規は「出国制限」に対してより明確な法的根拠を与えるものであり、AIや半導体といった中国政府が戦略的中核と見なす分野に、「国家安全保障」の網をかぶせやすくする狙いがある。

米中のAI戦略を巡る覇権争いは、すでに「人材と知識」の争奪戦に突入している。米国は半導体の輸出規制や技術封鎖を通じて、中国の計算能力(コンピューティングパワー)のボトルネックを締め付けようと試みている。一方の中国は、国産品による代替や大規模言語モデル(LLM)の自主開発を加速させると同時に、より厳格な物理的規制を用いて人材や技術の流出を防ごうとしている。 (関連記事: 【図解】中国の出入国新規定、台湾人も出国制限の対象に? 台湾当局が「5大高リスク層」に警告 | 関連記事をもっと読む )

今年4月には、中国国家発展改革委員会(発改委)が国家の安全保障を理由に、米メタ(Meta)による、中国のAIスタートアップ「マヌス(Manus)」の約20億ドルでの買収計画を差し止めた。マヌスの共同創業者2人が中国に帰国した後、出国制限を受けたことは、中国政府が技術と人材の流出に極めて神経をとがらせている実態を浮き彫りにした。

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