中国中央テレビ(CCTV)は、人民解放軍海軍の「遼寧」空母打撃群が年度遠海実戦訓練を完了し、無事に母港に帰還したと報じた。訓練期間中、艦隊は黄海、東シナ海、南シナ海など複数の海域で実戦を想定した総合演習を実施した。また、南シナ海の海域では、「遼寧」と「山東」両空母による初の双空母編隊演習が行われた。初お披露目となった中国の双空母編隊は、現場写真から何がわかるのか。
双空母編隊の総トン数は30万トン、新たな戦力が出現
軍事専門家の分析によると、中国の双空母編隊の構成は:6万トン級の大型スキージャンプ式空母2隻、055型ミサイル駆逐艦3隻、052D型「中華イージス」駆逐艦5隻、054A型フリゲート1隻、4.8万トン級の901型総合補給艦2隻となっている。専門家は、水面下には攻撃型原子力潜水艦1〜2隻が展開していると推測した。編隊全体の総トン数は30万トン級で、垂直発射セル数は合計688基に達する。
今回の空母編隊では、052D型駆逐艦と055型大型駆逐艦が主な護衛を担当した。専門家によると、055型ミサイル駆逐艦は空母編隊全体にとって、革新的な戦闘能力を持つ次世代艦艇である。全艦にコンフォーマルアンテナ設計を採用し、戦場状況認識能力や電磁戦能力は、これまでの艦艇が達成できなかった水準に達している。特に、大深度大口径の垂直発射システムには射程千キロメートル級の極超音速対艦ミサイルを搭載している。
艦載極超音速対艦ミサイルは、高速・長射程に加え、飛行経路も柔軟に変更可能で、空母編隊や陸上航空偵察、衛星偵察などの多角的な情報支援のもと、単艦で前進し空母編隊の防空範囲を拡大できる。専門家は、厳密には艦載極超音速対艦ミサイルは「航空宇宙型兵器」に属し、この新たな戦闘能力の加入により、中国空母編隊の艦載機が強敵に対して直面する一時的な戦力の弱点を効果的に補完すると指摘した。
カタパルト式殲-15B「サプライズ」、中国海軍の戦力に新たな里程標
空中戦力では、双空母編隊と初めて同時に登場したのが、殲-15戦闘機12機による低空飛行で、艦載航空編隊には「サプライズ」が隠されていた。
専門家によると、12機の殲-15のうち9機がカタパルト式殲-15Bだった。双空母の高解像度写真から、「山東」の飛行甲板には18機の殲-15が配置され、3つの発進位置のジェット偏向板が上昇位置にあった。一方、「遼寧」の飛行甲板は比較的空いており、この12機の殲-15の大部分は遼寧から発進したと判断できる。
中央テレビは先日、「遼寧」が新型艦載機を発進させたと報じたが、これはカタパルト式殲-15Bを指すとみられる。スキージャンプ式空母へのカタパルト式機の配備は、中国の3隻の空母の固定翼艦載戦闘機が「相互着艦」可能であることを意味する。カタパルト式機はカタパルト発進だけでなく、スキージャンプ発進も可能で、スキージャンプ発進の映像からはカタパルト式殲-15のカタパルトバーが確認できた。
さらに、殲-15Bは殲-15からカタパルト発進機能だけでなく、新型HUD(ヘッドアップディスプレイ)や大出力搭載型フェーズドアレイレーダーを装備し、状況認識能力や多目標攻撃能力は第4.5世代戦闘機の水準に達している。
専門家は、中国の双空母編隊がもたらす戦力の向上は「1+1=2」という単純なものではないと強調した。双空母による作戦行動の迅速な調整や出動効率の向上、さらに一方の空母が戦闘損害を受けた場合にもう一方が搭載機を受け入れられることを考慮すると、双空母編隊は中国海軍にとって実戦能力向上の重要な里程標となっているという。
編集:佐野華美
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