頼清徳総統、国慶節演説で対中国姿勢鮮明に「台湾代表の権利なし」と断言 ―演説全文を詳報
総統頼清徳、10日に就任後初の国慶節演説を行う(顔麟宇撮影)
中国への毅然とした態度「台湾代表権なし」と明言
台湾の頼清徳総統は10日、就任後初となる国慶節演説を行った。頼総統は「中華民国は台湾、澎湖、金門、馬祖に根付いており、中華人民共和国とは互いに従属関係にない」と述べ、さらに踏み込んで「中華人民共和国には台湾を代表する権利はない」と強調した。この発言は、台湾の主権と独立性を明確に示すものとして注目を集めている。
国際社会への貢献呼びかけ、中国にも協力要請
頼総統は中国に対し、国際社会の期待に応えるよう呼びかけた。「中国が影響力を発揮し、世界各国と共に努力してロシア・ウクライナ戦争や中東紛争を終結させ、台湾とともに国際的責任を担い、地域と世界の平和、安全、繁栄に貢献することを望む」と述べた。これは、台湾が国際社会の一員としての責任を果たす意志を示すとともに、中国に対しても建設的な役割を求める姿勢を示したものと言える。
国内問題に対する断固たる姿勢「詐欺と不動産投機に厳しく対処」
国民が最も懸念している高騰する住宅価格や横行する詐欺に対し、頼総統は「詐欺対策の強化」と「不動産投機抑制の効率化」を国民に約束した。「行政チームはこれらの問題から逃げることはない。特定の団体の反感を買うことになっても、躊躇しない」と断言した。この発言は、国民の切実な問題に対する政府の強い取り組み姿勢を示すものとして評価されている。
経済発展と社会福祉の充実を約束
頼総統は「イノベーション経済」「バランスの取れた台湾」「包摂的成長」を目標に掲げ、世界の潮流の変化を捉えつつ、グローバルな民主的サプライチェーンにおける台湾の重要な地位を維持すると述べた。具体的には、「5+2」産業イノベーション計画や「6大コア戦略産業」の推進を継続することを明らかにした。
また、0〜6歳児の育児支援の拡充、高校・職業学校の無償化の継続、私立大学の学費補助、若者の海外留学支援など、世代を超えた社会福祉の充実を約束した。特に、「0歳から6歳まで国が共に育てる2.0」政策の推進や、「青年百億海外圓夢基金」(若者100億元海外夢実現基金)の設立など、若い世代への支援を強化する方針を示した。
「五大信頼産業」の発展に注力
地域間のバランスの取れた発展を目指す
来年度の中央政府予算では、地方政府への補助金が大幅に増加し、過去最高の7,241億元に達することを明らかにした。これは前年度比895億元の増加となる。また、治水予算も前年度比159億元増の551億元となり、全国の各県市が極端な気候変動に対応するための支援を強化する。これらの予算措置は、地域間の格差是正と均衡ある発展を目指すものとされている。
交通インフラの整備と地域開発の推進
台北・新北・基隆・桃園の首都圏生活圏を結ぶ地下鉄ネットワークの完備や、「桃竹苗大矽谷推動方案」(桃園・新竹・苗栗大シリコンバレー推進計画)の実施、「智慧科技大南方產業生態系推動方案」(スマートテクノロジー大南方産業エコシステム推進計画)の開始など、地域開発の推進を約束した。さらに、東部の交通ネットワークの安全性向上や離島地域のインフラ強化にも言及し、全国的な発展を目指す姿勢を示した。
世代を超えた社会保障の充実
頼総統は、各世代に対応した社会保障の充実を約束した。具体的には、最低賃金の引き上げや家賃補助世帯数の増加、「長照3.0」(介護3.0)の早期開始などを挙げた。特に、台湾が来年「超高齢社会」に突入することを見据え、高齢者ケアの充実を図る方針を示した。また、「百億癌症新藥基金」(100億元がん新薬基金)の設立や「健康台湾深耕計画」の推進など、医療面での取り組みも強化する考えを示した。
国家の団結と与野党協力の呼びかけ
頼総統は、陳水扁前総統、蔡英文前総統、そして様々な政党の指導者たちの参加に感謝の意を表し、国家の団結と社会の安定の重要性を強調した。韓国瑜立法院長と卓栄泰行政院長が与野党協力の道を開いたことに謝意を示し、与野党の会派協議の促進に期待を寄せた。「国家の利益は常に政党の利益に優先し、政党の利益は決して人民の利益を超えることはできない」と述べ、政党を超えた協力の重要性を訴えた。
台湾の決意と理想を再確認
演説の締めくくりに、頼総統は台湾の決意と理想を再確認した。「国家主権を守る決意」「台湾海峡の平和と安定を維持する努力」「両岸の対等な尊厳と健全で秩序ある対話・交流を望む約束」「世代を超えて民主と自由の生活様式を守る決意」は変わらないと述べ、これらが台湾2300万人の共通の夢であり、台湾社会と国際社会の共通の理想であると強調した。
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