米国のドナルド・トランプ大統領は、米東部時間4月16日、自ら日本の高官との貿易交渉に参加した。この異例の対応は、関税政策による経済的衝撃と世論の批判に直面する中で、市場と世論を沈静化させ、貿易合意の早期達成を急ぐ米国の切迫した姿勢を浮き彫りにしたものである。
トランプ氏と共に会談に出席したのは、スコット・ベセント財務長官とハワード・ルットニック商務長官であり、両名はトランプ政権において貿易および関税政策の重要経済ブレーンである。
トランプ氏は会談前、自身のSNSで「日本と米国の双方にとって非常に有利な合意ができることを望む!」と投稿。会談後には「日本貿易代表団との会談を終えた。重大な進展があった!」と再び投稿した。トランプ氏が自ら交渉に介入したのは、中国が自国の貿易協定を加速させる中、自らも一連の協定を早期に締結したいとの意思の表れであり、同時に「取引の達人」としてのイメージが試される場でもある。各国は現在、米国の輸入関税による潜在的影響を回避すべく対応を急いでいる。
関税政策による市場混乱、90日間の猶予期間が鍵に
トランプ氏は4月2日に一連の関税政策を発表し、金融市場の混乱と景気後退への懸念を招いたことから、一部の関税に90日の猶予期間を設け、中国製品に対する関税は145%へと引き上げた。この猶予期間により、日本は一時的に24%の全面的関税を免れているが、基本関税10%および自動車、部品、鉄鋼・アルミ輸出に対する追加25%の税率への対応が求められている。
日本の対外製品の平均関税率は1.9%と低く、かつ米国の長年の同盟国であることから、16日の会談はトランプ政権が同盟国と具体的成果を達成できるかどうかの試金石とされている。これは金融市場、米国有権者、国際パートナーの印象に大きく影響する。
一方で中国は、トランプ政策における混乱を利用し、国際貿易における安定的パートナーとしてのイメージ構築を狙っている。習近平国家主席は東南アジア歴訪に乗り出し、中国がより信頼できる貿易相手であることを積極的にアピールしている。
世界が関税回避の突破口を模索、日米交渉に注目集まる
日本は、米国との公開協議を開始した最初の国の一つである。トランプ氏とそのブレーンは「多くの国から電話が鳴り止まない」と述べ、90日の猶予期間内に交渉をまとめ、関税制裁を回避したいとする各国の思惑が交錯している。イスラエルとベトナムは、関税をゼロにする提案すら出しているが、トランプ氏はそれを受け入れるかどうか明言していない。
トランプ氏は米東部時間4月17日、イタリアのジョルジャ・メローニ首相と会談予定であり、同氏はEU27カ国を代表して関税への不満と交渉意志を伝える可能性が高い。 (関連記事: 「台湾が優先交渉国に含まれず」=悪いことではない?専門家「日韓の結果を見てからでも遅くない」 | 関連記事をもっと読む )
しかし、トランプ氏は米国内でも高まる圧力に直面している。多くの支持者は、ホワイトハウス復帰後に経済改善を期待している。カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は4月16日、「経済緊急事態」権限の乱用を理由に提訴し、関税政策が経済混乱を招いていると非難した。