米国が「対等関税」を発動した後、(中国からの輸入品を除き)90日間の執行停止を発表したことにより、市場は混乱し、米国株、米国債、ドルは相次いで下落した。このような状況下で、中国や日本が米国債を大量に売却したとの観測が広がったが、日本の農林中央金庫の北林太郎理事長は『日本経済新聞』の取材に対し、「そのような噂は事実ではない」と明確に否定した。
北林氏は次のように述べた。「農林中金は、昨年に約10兆円(約697億ドル)超の低収益資産を売却したことで収益性が改善し、現時点で市場の変動を受けて慌てて戦略を見直す必要はない」。『日経』によると、農林中央金庫は昨年4月から12月にかけて、外国債券などの資産を12.8兆円減らしており、2024年度(本年3月末まで)には1.9兆円の純損失を計上した。なお、前理事長の奥和登氏は4月1日に引責辞任し、北林氏が同日に理事長に就任した。
昨年の大幅な損失を受け、市場では農林中央金庫をはじめとする日本の大手金融機関が最近、米国債を大量に売却しているとの観測が浮上。これにより、米国債の利回りが一時急上昇(債券価格の急落)したとされている。しかし、北林氏は同金庫がすでに中長期的な改革計画に注力していると強調し、「過去20年以上、債券を中心に据えていた国際分散投資戦略を見直し、真の意味での分散投資を追求していく」と語った。
同氏によれば、今後は政府債券のポートフォリオに占める比率(かつては約60%)を引き下げ、株式、社債、担保付きローン債券(CLO)、プライベート・エクイティなどへの投資を拡大していくという。
日本国債への再投資の可能性について北林氏は、「長期金利が1.3〜1.4%付近に近づけば投資機会が生まれるが、今後さらに金利が上昇する余地があるかどうかを慎重に見極めていく」と述べた。北林氏は「現在の最優先事項は『収益力の再構築』であり、銀行として農業分野への投資・融資支援を拡充できる体制を整えることが重要だ」と語った。
今後、同金庫はプロジェクトファイナンスの強化、地方金融機関との連携深化、農家向けリース事業の拡充にも取り組む方針である。 (関連記事: トランプ、同盟国に「自己負担」を迫る 退役“空将”:日本は曖昧な戦略に頼れず、インド太平洋新秩序に積極的に参画すべき | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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