前総統の陳水扁は先日の公開演説で、「意見が異なるからといって、(中国共産党の)同調者だと言うべきではない」「政治的清算は野党に対処する良い方法ではない」などと語った。これが現職の賴清徳総統へのメッセージと解釈され、台湾で議論を呼んでいる。
趙少康氏「陳水扁は全国民の総統を目指した」と評価
前中国広播公司(ラジオ局)董事長の趙少康は21日、フェイスブックに投稿。陳水扁が少数派政権だった当時、少なくとも善意と誠意を示し、国民全体の総統になろうとする高さを示したと評価した。そのうえで「台湾独立派の若い世代までもが『台湾の息子』と呼ばれた陳水扁までを中国共産党の同調者に仕立て上げようとするのか」と現政権を批判した。
「賴清徳政権は異なる意見の粛清と独裁的闘争に専念」と非難
趙少康は、賴清徳が就任して1年も経たないうちに、良いことは何一つせず、異なる意見の粛清と独裁的闘争に専念していると非難。陳水扁も見ていられなくなり、「台湾独立派の若い世代」に対して不満をもらし、賴清徳に多様性を受け入れるよう求め、意見の異なる人々を皆「中国共産党の同調者」に仕立て上げるべきではないと訴えていると述べた。
「民進党はすでに民主主義が後退した一方的組織」と批判
趙少康は、「台湾独立理論の大家」林濁水がスパイとされただけでなく、「台湾の息子」陳水扁までもが賴清徳の国家統治理念と異なるという理由でネット部隊に攻撃され、民進党はすでに民主主義が後退した一方的な組織だと批判。「道が異なれば共に進めず」なので、民主的素養のある人はみな離れていき、例えば施明德・張俊宏・沈富雄・鄭麗文・李永萍・陳文茜・蘇煥智・郭正亮などの元民進党系政治家がいると指摘した。
賴清徳発言に「6割の有権者もスパイなのか」と反論
趙少康は、賴清徳が先週の民進党中央常務委員会で「民進党への浸透は今日から始まったわけではなく、過去の党員が任期後に国家主権への立場を変えたことからわかる」と意味深に述べたことを引用し、「賴清徳と意見が異なる人はすべてスパイなのか、それでは賴清徳に投票しなかった6割の有権者はすべてスパイなのか」と反論した。
2000年当時の陳水扁政権を回顧、現政権と対比
趙少康は2000年当時を振り返り、陳水扁は少数派政権ながら善意と誠意を示し、当選後に趙を訪問し、ラジオ局のイベントにも参加。多くの国民党員を訪問し、政党指導者会議を開催して野党と協議したため、大法官人事・金融改革・減税案がすべて承認されたと回顧。「現在の賴清徳と比較すると、野党の排除を目標とし、国民の反対署名運動を犯罪組織のように扱い、すべてを独占しようとし、民主的素養が全くない」と締めくくった。
編集:佐野華美
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