舞台裏》蔣萬安氏「内閣不信任」電撃発言 国民党内に波紋、朱立倫氏は政治的賭けに出るか

台北市長蔣萬安(中央)が17日に台北地検前で抗議し、内閣不信任案を呼びかけた。(資料写真、顔麟宇撮影)
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死亡者の署名が含まれているとして起訴が相次いでいる司法措置の連鎖は、ついに国民党本部および主席の朱立倫を動かすに至り、17日午後6時、支持者に呼びかけて台北地方検察庁(北検)前での抗議集会を決行した。朱立倫は、これまでの温厚なイメージを覆し、バリケードを乗り越えて抗議の姿勢を見せた。また、台北市長の蔣萬安も、所属する警察局長の李西河が「違法集会」との見解を示していたにもかかわらず、出席を決定し、周囲を驚かせた。さらに現場で突如として「内閣不信任案を提出する」と発言し、関係者一同を唖然とさせた。元々、「不信任案」を最初に提起したのは盧陣営の幹部であり、最後にさらに衝撃的だったのは、朱立倫が18日の党団会議で「検討に値する」として態度を軟化させたことである。党本部はこれまで内閣不信任案に断固として反対してきたからだ。

関係筋によると、こうした変化は、外部で推測されていた蔣萬安と台中市長の盧秀燕が手を組んでクーデターを起こそうとしているというものではなく、むしろ党本部主導の「悪質なリコール反対運動」がほぼ失敗と断定される状況下で、朱立倫がやむなく選んだ政治的賭けだという。情報によれば、台北市の青年部が検察により捜索・連行された際、蔣萬安陣営では、もし台北市党部主任の黃呂錦茹も同様の扱いを受けた場合、台北市で国民党陣営のトップである蔣萬安はどのような姿勢を取るべきか、すでに議論されていたという。黃呂錦茹は任期中、同じ政党の議員や立法委員の選挙支援に全力を尽くしており、蔣萬安が何の行動も起こさなければ、士気が崩壊するのは避けられず、必ず前面に出る必要があるとの判断だった。

しかし、唯一蔣萬安陣営の予想外だったのは、警察局長の李西河が、すでに市長が出席を決定していた集会に対して否定的な立場を表明したことだという。当然のことながら、17日はちょうど議会の警察・行政委員会による質疑が行われており、李西河は「この集会は申請されていない」と発言した。しかし振り返れば、昨年の台北市警察局長人事を巡る争いでは、蔣萬安が求めていたのは方仰寧であり、李西河ではなかった。李西河は、現総統・頼清徳の側近であることからも分かるように、当時の蔣萬安の及び腰が現在のような状況を招いたといえるだろう。 (関連記事: 李志堯の視点:最期が近づいているのか?2027年に中共が台湾攻撃を必要としない理由 関連記事をもっと読む

内閣不信任案の提起は事前協議なし 蔣萬安はまず司法的圧力からの打開を模索

出席を決めた後、なぜ蔣萬安が突然「内閣不信任案」の提起を口にしたのか。これにより、盧・蔣による朱主席へのクーデター説や、朱立倫が自ら提案できず蔣萬安に代弁を頼んだなど、様々な憶測が飛び交った。だが関係者によれば、実際には蔣萬安が不信任案を提起する前に、台北市選出の立法委員や党本部と一切協議していなかったことが判明しており、いわゆる「クーデター」や「朱からの依頼」といった話は全くの根拠のないものであるという。蔣萬安側の本意は、司法的手段によって国民党が民進党から一方的に攻撃を受けている現状をどうにか打開するための手段を模索していたものであり、不信任案はその選択肢の一つに過ぎなかった。過去に盧陣営が旧暦の年末年始の時期に不信任案を提起した時と今回の最大の違いは、蔣陣営がここ1か月で続いた民進党によるスパイ事件および関税問題の発生を踏まえ、もし全面的に改選が行われたとしても、単に守勢に回ってリコールを防ごうとするよりは、結果が悪くなるとは限らないと判断している点にある。

20250417-国民党主席朱立倫17日、北検前での抗議を呼びかけた。(顔麟宇撮影)
国民党主席朱立倫17日、北検前での抗議を呼びかけた。(資料写真、顔麟宇撮影)